月別アーカイブ: 2011年6月

少人数クラスの絆

「学部の定員はどのくらいがいいだろう?」

新学部・フロンティアサイエンス学部の構想を練っていた若手教員(といってもアラフォーですが)で議論を交わした一つの結論が35名でした。議論を交わしたと書きましたが、実は議論らしい議論はなく、「35~40名なら、全員が互いを知っているという集団になる」というのが一致した見解でした。そのメリットはいろいろありますが、ひとつは絆、といえるでしょう。

先日、A期末試験打ち上げのレクリエーションが行われましたが、その企画、準備、運営のチームワークをみて、「この子たちは卒業後どこに行っても活躍できる」と強く感じました。

この絆が大きな財産になるのは、卒業の後です。まだ、FIRSTには卒業生がいませんので、ほぼ同じ規模の学科(ブログ管理人の出身学科)のエピソードを書きたいと思います。1学年40名の学科です。

昨年、学科設立50周年を記念して全体同窓会があったのですが、同級生はもちろん、上下の学年まで久しぶりに会うのが懐かしく、親しく話すことができるのは、少人数ならではのことだと思いました。(FIRSTはマイラボがあるから、上下の繋がりはさらに強いでしょう)。

いくつかの世代がスピーチをしましたが、そのうちの1人は、卒業後に起業した20代の女性。化粧品企業の研究開発の部署に勤めていたのですが、もっとカスタマー寄りの仕事がしたいと、一念発起、会社をやめて自ら起業したのだそうです。しかしぜんぜんうまくいかず、開店休業状態。そんなとき、同級生から久しぶりに会おうと声が掛かって集まったところ、「○○ちゃん、みんな応援しているよ」と封筒が。同級生が声を掛け合って資金集めをしてくれたそうなんです(その額○十万円!)。

envelope

その資金を手にしたときに、みんなの気持ちを無駄にはできないという思いから、仕事に対する考え方や行動が、がらりと変わったというんですね。それまでの甘さが消えて、仕事がうまく行き始めたというんです。いやあ、私、それを聞いて感動しました。ますますその学科への愛着が湧きました。在学中はあまり感じたことなかったんですが(笑)。

FIRSTの学生たちには、卒業後、どんな絆が生まれるんだろう。FIRSTが、卒業後にさらに愛されるなるような学部になればいいなあ。


梅雨の合間の夕空

キャンパスからの夕景・第2弾です。
今週はずっと梅雨模様、という予報。でも、日の入り前に少しだけきれいな空が見られました。

夕景

(ポートアイランドキャンパスから見た北側(六甲山側)の空です。 8月の「みなと神戸海上花火大会」のときには7階から花火が見られるんですよ!)


T-Learning(ティー・ラーニング)

E-Learningというのは電子教材などを使った学習のことですが、T-Learningというのは皆さん聞かれたことがないと思います。これは、フロンティアサイエンス学部の教員相互授業参観のことです。専任教員の講義科目でそれぞれ最低1回は、参観を実施することになっています。

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T-Learningという名前は「Teacher(教員)も学ぶ」というところから付けられました。学ぶのは「授業を参観する教員」か「授業を実施する教員」か? こたえは両方です。
 
「授業を参観する教員」は参観した授業の良いところを参考にすることができます。また、自分の専門と異なる授業では、授業内容自体が改めて勉強になることもあります。

「授業を実施する教員」は、参観した教員からのコメントを参考にすることができます。改善すべき点を指摘してもらうこともあれば、良かった点を指摘されて励みになることもあります。

大学教員は基本的には研究者。「教える」ということに関しては、教育されたわけでも免許を受けたわけでもありませんから、授業の仕方などについて、継続的な向上のための努力をすることは欠かせません。

それと、何より大事なことは、教員が互いにどのような授業をしているか、内容、授業の様子、学生の関心度・理解度なども含めて、参観によって知ることができるということです。学部教育を考えるときに、このような情報の共有がなければ、各教員が「自分の授業では・・」という観点のみで意見を交換しがちになり、なかなか建設的な議論にはなりません。

 高校までは文部科学省の指導要領というガイドブックがあり、どの授業でどんな内容を教えるか、ということはある程度決まっています。しかし、大学の授業科目の内容は、学部で独自に考える事項ですから、「誰がどんな授業をしているかわからない」というわけにはいきません。参観は、各授業の役割や学部教育全体における各授業の位置づけや役割を再確認し、必要があれば改善していくのに役立つというわけです。

この制度は、新学部の構想段階で「教員の経験」をもとに採り入れられました。実は、私たちは大学時代に良い授業を受けたという経験があまりありません。もちろん、中にはすばらしい授業もありましたよ。でも、多くは「先生が前で教科書を朗読しているだけ」とか「先生が黒板に向かって独り言のようにつぶやいているだけ」とか「先生が板書してそれを写すだけ」とか、、、、中には「私は体の具合が悪い。単位はあげるから授業には出んでよろしい。」と授業もありました。

愉快な思い出ではありますが、ずいぶん無駄な回り道をした、という思いがあります。大学に入ってすぐに、専門分野のおもしろさを感じられる授業に出会えていたら、、、、専門分野をしっかり学べる授業に出会えていたら、、、、 フロンティアサイエンス学部の学生たちには、そんな授業に出会わせてあげたい、というわけで、学部開設時から継続的にT-Learningを実施しています。

実際に参観を行ってみての感想は(ブログ編集者の個人的な感想ですが)、、、「大変参考になる」ということに尽きます。本当にどの授業にも参考になる点がたくさんあります。それから「授業の質が高い」。自分が大学生のときにこういう授業を受けたかった、と思います。

観られる方は、、、、これは、緊張しますよ! 参観日が決まっているわけではなく、いつ観に来られるかわからないので、毎回毎回、すごいプレッシャーです。


もう1つの新学部 “CUBE”

フロンティアサイエンス学部(FIRST)と同じ2009年4月に開設されたもう1つの新学部、マネジメント創造学部(CUBE)。学部名からわかるように文系の新学部です。この2つの学部は、それぞれポートアイランドと西宮北口という、メインキャンパスの岡本から東西に翼を拡げたような場所に、新しいキャンパスとともに誕生しました。

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(甲南大学ホームページより)

私たちのポートアイランドキャンパスのお隣は、理化学研究所のスーパーコンピューター「京」ですが、 CUBEの西宮キャンパスの隣も有名な施設。兵庫県立芸術文化センターです。

先日、小澤征爾さん以来、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演で指揮をされた佐渡裕さんが、昨日、帰国後初の公演をされたのが兵庫県立芸術文化センターです。阪神淡路大震災10年後に文化復興のシンボルとしてオープンした施設で、佐渡さんは、同センターの芸術監督でもいらっしゃいます。

佐渡さんの書き物でよく知られているのが「河合先生との対話」。元文化庁長官の河合隼雄先生との対談をまとめられたものです。甲南大学は河合先生と縁が深く、例えば甲南大学カウンセリングセンターでは、河合先生が日本にはじめて導入された箱庭療法も行われています。

世の中、どこかで繋がっているものですね。

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マネジメント創造学部(CUBE)に関する詳細はホームページをご覧下さい。


進学説明会が開催される

今日は、ポートアイランドキャンパスで進学説明会が開かれました。

進学説明会は2部構成になっており、第1部は14:00〜16:45に行われ、高校の先生を対象とした説明会、第2部は16:45〜19:00に行われ、高校生を対象として行われました。

入試事務室の方からの英語の長文対策など受験生にとって大変有益な情報も得られたのではないでしょうか?

第1部、第2部ともにたくさんの方にご参加いただきありがとうございました。

説明会1

また、第2部のはじめには、FIRSTの学生による学生生活の紹介があり、2回生の白井君がプレゼンを行いました。FIRSTでの学び、学生生活など、自分の視点でまとめてうまくプレゼンされていました。

FIRSTの学生は、プレゼンテーションを講義で学びます。
しかし、教室で学ぶだけでは実践的な力はなかなか養われません。こういう場を活用して学生さんは自分たちが身につけた能力を使ってみるわけです。練習をして、いざ本番でしゃべってみると、あ〜、しゃべるつもりだったのに本番で緊張して言い忘れてしまった、というように思った通りにしゃべれなかったことなどを反省することも多々あります。実践を通じて学ぶことって重要ですよね。

前回は春のオープンキャンパスの時に、2回生の石川さん吉田君が話してくれていました。今回は白井君。さて、次は誰がプレゼンをしてくれるでしょうか?

説明会2