学生による“鶴岡先生”インタビュー 〜2〜


フロンティアサイエンス学部・学生広報委員がによる教員インタビュー第1弾「無機光化学研究室・鶴岡孝章先生」のPART2です。

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(PART1からつづく)

 

次に研究について聞いてみましょう。

☆研究テーマはどのようにして見つけるのですか?

「『面白い、興味があるというテンションが上がるテーマ』と『上手くいくようなテーマ』をいくつか用意しておくこと。直感でこれは面白そうだと思うものは、たくさんの裏付けがされていないということなので、上手くいかないことの方が多い。それだけでは研究は楽しくないので、得意でかつすでにいくつかの知識をもって上手くいきそうなものも選んでおくことでモチベーションを維持できる。これが秘訣ですね。」

☆先生の研究経歴は?

「研究室に入った当初は半導体のナノ粒子の研究を行い、現在は、教員になる前に博士研究員であったときに身に付けたことを生かして研究をしています。」

☆それは、ざっくりいうとどんな研究ですか?

「金属イオンと有機物の柱を用いて目的の物質を中に閉じ込めるような空間を作る研究を行っています。」

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「この構造体は金属有機構造体(MOF)と呼ばれ、直方体状の構造体(上の図)の他にもサッカーボール状の構造体(下の図)などがつくられています。」

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分子とイオンで建築物をつくっているみたいですね。

☆この構造体は何かの役に立つのですか?

「目的物質の回収、除去、分離が可能です。例えば、大気中から二酸化炭素を回収して地球温暖化の抑制に役立てたり、近年、水素などを閉じ込めて燃料として使いやすくしたりすることができます。」

「水素はクリーンな燃料として注目されているのですが、気体ですから密度が小さく、燃料として使用するためには、ぎゅっと集めることに労力を割かなければならないんです。また、普通のやり方で集めたとしても小さいエネルギーしか生み出せないという欠点がある。でも、この構造体に気体を回収できるような性質を付与することで、水素ガスそのものを密度を高くして扱うことが可能となり、より高いエネルギーを一度に得ることができるようになるんです。それ以外にも、環境中から有毒な物質を除去したり、匂い物質や水質汚染物質を除去するなどの応用が期待されています。」

規則正しい見た目が美しいだけでなく、とても役に立ちそうですね。

☆どうやってこのような構造体をつくるのですか?

(PART3に続く)