月別アーカイブ: 2017年6月

学生さんの受賞 〜Chromatography Outstanding Student Paper Award〜

第24回クロマトグラフィーシンポジウム(主催:クロマトグラフィー科学会、東北大学医学部開設百周年記念ホール、6月14日〜16日)にて、フロンティアサイエンス研究科修士課程2年の野上晴加さんが「Chromatography Outstanding Student Paper Award 2017」の表彰を受けました。 

なお、発表論文は「Nicotine-selective Polymeric Adsorbent Obtained by Molecular Imprinting with Excess Use of Itaconic Acid」で、農作物や環境中に残留している農薬などの汚染物質を、低濃度まで正確に分析できるよう、簡便に濃縮することができる高分子材料に関する内容でした。

SCS_OSP_Award

(東北大学医学部開設百周年記念ホールにて)


『ファースト先生が勧める渾身の○◯シリーズ!』(2)曲がったギター

みなさん、こんにちは! ポートアイランド事務室のNです。

前回の三好先生の多機能ウォッチはいかがでしたか?

さて、フロンティアサイエンス学部(FIRST)の教員のこだわりを紹介するこのコーナー、早くも(ようやく?)2人目です。

今回、渾身の逸品を紹介していただけるのは、フロンティアサイエンス学部長の藤井敏司教授です。学部長ですよ、みなさん。

紹介の品もぜったい学部長級ですよ(?)。

 

guitar1

N「わあ、今回はギターですね! どんなギターをご紹介いただけるのでしょうか?」

先生「フレットが曲がったギターです。」

N「あっ、わかりました。印刷がずれているお札は価値が高い的なギターですね!」

先生「違います(笑)。ちゃんと理由があって、あえて曲げて作られているんです。」

N「うぬぬ・・・。で、先生、そのフレットというのは・・・すいません、音楽のことは何にも知らなくて・・・下町育ちなもので。」

先生「ほら。」

 

guitar2

 

N「ほんとに曲がってる! すご~い。」

 

(みなさん、ここからはしばらく音楽の時間です。ちゃんと寝ずについてきて下さいね。)

先生「Nさんは平均律というのを聞いたことがありますか?」

N「・・・。」

先生「ほら、バッハの平均律クラヴィーア曲集とか、あるでしょう?」

N「・・・・・。」

先生「例えば『ド』から1オクターブ上の『ド』まで、ド・ド#・レ・レ#・ミ・ファ・ファ#・ソ・ソ#・ラ・ラ#、シ、ドの13種類の音がありますよね。その『ド』から『ド』までを12等分するような音律が平均律です。」

N「13個の音なのに12等分ですか? あっ、私得意なやつです。つるかめ算、ん? ちがう! 植木算ですね!」

先生「ギターでもピアノでもこの平均律が一般的に使われているのですが、ちょっと問題あるんですよ。」

N「何ですか?」

先生「和音がきれいにハモらないんです。」

N「えーっ? ピアノやギターではきれいな和音は弾けないということですか?ショックです。」

先生「はい、厳密に言えば。例えば、『ドミソ』の和音。ちょっと難しい話になりますが、完璧な響きにしようと思ったら、『ミ』と『ソ』は、『ド』の周波数(1秒間に何回空気がふるえる音か、という数字)のそれぞれ『5/4倍(1.25倍)』と『3/2倍(1.50倍)』でないといけないんです。」

N「平均律だと何倍になるんですか?」

先生「ミが1.259‥倍、ソが1.498‥倍です。」

N「はぁ、ビミョーに違いますね。その違いが・・・」

先生「そうなんです。周波数がきっちり割り切れる関係じゃないので、平均律のドミソが同時に鳴るときれいに混じり合わないんですね。」

N「でも先生、おかしいです。平均律は12等分するんだから、平均律の方が割り切れる数字になるはずじゃないですか?ドから6番目の『ファ#』」がちょうど1.5倍になるとか?」

先生「おぉ、するどいですね。では、詳しく説明しますが、ここでの等分というのは等比数列のことで・・・」

N「せんせー! 私には難しすぎます(泣)。でも、響きがきれいなギターということはわかりました。その響きをちょっと聞けたりしますか?」

先生「ははは、最近は全然練習してないので・・・」

 

guitar3

N「なんか、楽譜もジャカジャカじゃなくてボロロン、という感じなんですね。本格的ですね。」

先生「(笑)。Nさんのギターのイメージは、バッキングというんですが、フォークギターでコードをかき鳴らすような弾き方ですね。これはフォークギターじゃなくて、クラシックギターですからね。メロディも伴奏も1人でやらないといけないところが、難しいけどおもしろいところですね。」

N「えー、いいなあ、私もやってみたくなりました。才能ないですけど。」

先生「そんなこと、やってみないとわかりませんよ。」

N「わかります。昔、ギター教室に通ってたので。」

先生「えっ!?・・・やってたの・・・」

 

チーン

今回はここまで!学部長の特別音楽講義とNの黒歴史カミングアウトで終わってしまいました。

貴重な学部長対談、このまま終わらせません。

次回、渾身シリーズ番外編~学部長、ギターと出会う~をお届けします。


水曜と木曜は2年実験の日(3)

(「水曜と木曜は2年実験の日(2)」から続く)

 

2年生の学生実験の紹介、最後は「ペプチドの合成」です。 

受験生のみなさんは「ペプチド」や「タンパク質」のことはご存知かと思いますが、念のため、簡単に説明しますと・・・。 

一般的にはアミノ酸が2〜50個程度つながってできた鎖のような物質をペプチドと呼び、さらに多くのアミノ酸がつながった、より長いものをタンパク質と呼びます。ただ、タンパク質の「アミノ酸がつながってできているという」という構造上の特徴を指して、タンパク質はペプチドである、といっても間違いではありません。

 

solidphasesynthesis_Fotor

(この授業では、樹脂ビーズの上でアミノ酸をつなげていく「固相合成」という実験技術を習得します。上の図で、アミノ酸構造中の◯の色の違いは、アミノ酸の種類の違いを表しています。)

 

生体内のペプチドでよく知られているものにはインスリンがありますね。最近では、アルツハイマー病に関連してアミロイドβ(ベータ)というペプチドも注目を集めています。

13207592 - human insulin. stylized chemical structure.

 

(血糖値を下げる働きをするホルモン「インスリン」もペプチド。2本のペプチド鎖が途中2箇所でつながった構造をしています。)

 

こちらが実験の様子です。

peptidesynth_1

peptidesynth_3peptidesynth_5

peptidesynth_2peptidesynth_4

(上から)実験操作の説明、樹脂ビーズの秤量、樹脂ビーズの洗浄、反応(試薬の添加や撹拌)、反応の確認

 

さて、 ペプチドのような生体内で働く分子を、生体外で化学的につくる、ということには、どのような意義があるのでしょうか。大きく分けて2つあります。

 

1.からだの中の分子のことを知る

 実際に人間の手でつくって調べてみることによって、からだの中の分子の性質や働きをより深く理解することができるようになります。例えば、酵素を構成している「或るアミノ酸」を「別の種類のアミノ酸」に変えてみることによって、酵素におけるそのアミノ酸の働きを確かめることができます。もし、別の種類のアミノ酸に変えて酵素が働かなくなったなら、「元のアミノ酸」には酵素にとって欠かせない働きをしていた、ということがわかるわけですね。

2.からだの中の分子を超える分子を作る

 実際に人間の手でつくったり調べてみたりする経験を重ねることによって、からだの中の分子を超える性質や働きをもつ、新しい分子をつくれるようになります。例えば、副作用のない薬や、空気から役に立つ物質を生産できる触媒などを設計するヒントが得られたりします。

 

これが生物学と化学を融合的に学んだり研究したりする、生命化学のおもしろさですね。

うーん、今日の後半は受験生向きというよりも、うちの学生に向けた講義のようになってしまいましたね。


投票開始!

このところイギリスやフランスの総選挙の投票結果が大きなニュースになっていますが・・・

ここポートアイランドキャンパスでも、投票が始まりました!

70082641_s

スイーツのパッケージデザイン案の投票です。

以前の記事で、神戸岡本のチョコレートハウス・モンロワールさんとの共同企画の一環で、学生たちがキャンパス・オリジナルのパッケージをデザインしているという話は紹介しましたが、そのデザイン案に対する投票ですね。

 

Poll3

Poll1

さあ、最もポートアイランドキャンパスらしさを表しているのは?

答えは、秋のオープンキャンパスで(予定)。

ぜひ、実物でお確かめください。


FIRST同窓会の「ホームカミング・デー」

FIRSTは入学定員が45名(昨年度までは35名)という少人数の学部。

しかも、ポートアイランドキャンパスには「マイラボ」という学生スペースがありますので、学生たちは、同学年はもちろん先輩や後輩とも顔馴染みになります。

顔馴染みどころか、一緒に遊びに行ったり、試験勉強やレポート対策を教え・教わったりしながら、私たち教員から見てもうらやましいような関係を築いています。 

そんな関係が卒業後も続くように、と学部開設と同時につくられたのがFIRST同窓会です。

 

そのFIRST同窓会が、卒業生と在学生が交流できるようにと、お盆にホームカミング・デーを企画しているようです。

(ちなみにホームカミング homecoming とは、帰省・帰郷 という意味です。)

 

DoubleHaruka_on_Ice

「かき氷とヨーヨー釣りを用意して待ってます。」(FIRST同窓会の会長と会計のお二人。大学院修士課程の2年生です。)

 

ご覧のように日々試作を重ね、ふわふわかき氷の出来は「プロってきてる。」(本人たち談)というレベルだそう。 

ホームカミング・デーは8月12日(土)。

卒業生・在学生(3年生以上)の皆さん、お楽しみに。