月別アーカイブ: 2011年8月

サイエンス島の蝉

8月に入っていよいよ厳しい暑さになってきました。

ポートアイランドキャンパスでも、セミの声がうるさいほどです。セミはふつう、成虫になってから長くても1kmほどしか移動しないそうですので、埋め立てて作られた人工島にセミがいるのもちょっと不思議な気がします。これは、おそらく埋め立てに使った六甲山系の土に、卵や幼虫が混じっていたからだろうと思います。

今鳴いている蝉はほとんどがクマゼミですが、私が子供の頃は、関西ではほとんどアブラゼミばかりで、クマゼミやミンミンゼミのような羽が透明のセミを捕まえたら、しばらくはヒーローでした。最近はアブラゼミが減ってクマゼミが増えているような気がしますが、その原因の一つと考えられているのが温暖化だそうです。温暖化はセミの分布だけでなく、生態系にさまざまな影響を与えますのでやはり真剣に考える必要があるのだと思います。
 
kumazemi

シュワシュワというクマゼミの鳴き声は夏の暑さを倍増させるような気がしますが、やがてミンミンゼミの声が優勢になり、ツクツクボウシにかわるころには、キャンパスにもだんだんと秋の気配が漂ってくることでしょう。それまでしばらくの間、猛暑に負けずせっかくの夏を楽しみましょう。

かしこい新素材 − スマートマテリアル

この夏に発売される携帯電話はスマートフォンが主流だそうですね。おかげで、スマートマテリアルと聞いて「スリム体型の新素材?」と勘違い人も減るかもしれません。

そうです、この場合のスマートというのは「かしこい」とか「機知に富んだ」とかを意味します。でも、「かしこい新素材」「機知に富んだ新素材」って、何でしょう?

それは「あたかも知能を持っているかのように、周辺環境に応じて機能を発揮する」新素材のことです。インテリジェントマテリアルとも呼ばれます。

未知のことを明らかにしたり、未知のものを創り出すことにチャレンジするFIRSTの3年生実験。
中堀君の前期の研究テーマは、周りに「環境汚染物質」があると形を変える「高分子素材」の開発です。

nakahori
(先日のオープンキャンパスでこの内容をポスター発表してくれました。真ん中が中堀君。)

“企業秘密”的な部分が多く、詳細はここでは明らかにできませんが、この高分子素材は、ある環境汚染物質を識別して(かしこいでしょ?)、その汚染物質の存在を、自らの形を変えることによって私たちに知らせてくれるのです。

この新素材開発がうまくいけば、例えば、棒状のプラスチックのようなものを、水の中に“ぴちょ”と浸けて、形が変わるかどうかを見てやれば、河や湖の水や、野菜や果汁の中に、汚染物質があるかどうかがわかる、というわけですね。


夏期オープンキャンパス、ご来校ありがとうございました(3)

前回前々回にひきつづき、夏期オープンキャンパスの模様をご紹介致します。
最終回の今回は、学生のプレゼンテーション「在校生による学部紹介」です。

10)在校生による学部紹介

春のオープンキャンパスでもご紹介した、在校生による学部紹介です。
FIRSTを志望した動機や、入学後の大学生活、キャンパスの気に入っているところ、などを説明してくれました。ここでは、話の内容の一部を、文字に起こして紹介したいと思います。

takamine1
takamine2
(2年生の高嶺竜太朗君)
『 僕は高校生の時から漠然と医療に興味があり、医学部や薬学部ではないですが、医療分野についても学べるこの学部を受験しました。入学後は、ここの学びの中心であるナノバイオに関して、化学的、生物学的、物理学的な基礎知識を勉強してきました。講義の中でDDS(ドラッグ・デリバリーシステム)の存在を知り、将来は、DDSに関する仕事がしたいと強く思うようになりました。このDDSというのは、病巣への薬を運ぶ仕組みを作る研究分野であり、これにより薬の効果を増加させたり、副作用を抑えたりすることができます。僕は将来、こういった創薬に関わる仕事に就きたいと思い、有機合成などが学べるケミカル系と薬理学などが学べるバイオ系のカリキュラムを中心に履修しています。ここでは、僕のような医療分野をしたいという学生も、ナノテクノロジーを学びたいという学生も、DNAについて学びたいという学生も同じように学べる自由なカリキュラムがあります。今のみなさんはやりたいことがわからなかったり、また、たくさんあったりするかもしれませんが、FIRSTには・・・ 』

suga1

suga2
(1年生の須賀ゆかりさん)

『 外から地球に見えていたこのオブジェ、じつは中は図書室なんです。まだ新設されて3年目なので本の数はそれほど多くありませんが(ブログ編集者注:現在4000冊で、2年後には8000冊になる予定)、この学部の学びに関するたくさんの専門書が並んでいます。私たちもレポートを作成するときは、参考資料を探したりするためよく訪れます。天井はドーム型で、エアコンの吹き出し口が床にあるというちょっと変わった構造です。図書館内は大変居心地がよく・・・ 』
なお、春のオープンキャンパスでの学生プレゼンの内容も、このブログで紹介しています。 
ぜひそちらもご覧下さい。
(春のオープンキャンパスでの学生のプレゼン(1)(2)(3)) 
 

関西選手権競漕大会 男子シングルスカル 10位入賞

フロンティアサイエンス学部3年の櫻井健志君が、関西選手権競漕大会にて男子シングルスカル10位に入賞しました。

sakurai
(オープンキャンスで発表ポスターの前に立つ櫻井君。学問とスポーツを両立させるのは、素晴らしいことですね。)

SingleScull

(シングルスカルって何?という方のためのイメージ図。かっこいいです。)


夏期オープンキャンパス、ご来校ありがとうございました(2)

8月6日、7日に開催したフロンティアサイエンス学部(FIRST)の夏期オープンキャンパスの模様を、前回に引き続き、画像を中心にご紹介いたします。 

6)キャンパスツアー

OC2011S_ツアー
(ナノの世界を探求するには欠かせない電子顕微鏡をご覧いただきました。2年生になると、実験の授業で学生自身が測定を行います。)
OC2011S_ツアー4
(2Fのウッドデッキから全長約23mの巨大DNAモデルを見上げていただきました。)

OC2011S_ツアー3
(一人ひとりの専用デスクがある学生スペース・マイラボ。教員らで厳選したチェアの座り心地も確かめていただきました。「うわ、寝てしまいそう(参加者の声)。」 いえいえ、いいチェアがあるのは長時間の学究のためですよ。)

OC2011S_ツアー2

(こちらは研究室の専門実験室。大学院生を中心に使用していますが、学部3年生以上になると、テーマ毎にわかれて、この専門実験室で実験を行います。ちなみに画像の実験室は化学系の研究室です。)

7)実験体験講座−化学編

OC2011S_化学実験
(化学発光を使ったバイオセンシングについて講義中。このあと、バイオセンシングによる玄米の鮮度鑑定と血痕鑑定を行いました。)

OC2011S_化学実験2
(化学発光に必要な試薬を秤量していただき、この後、実験室を真っ暗にして発光を観察していただきました。「ハリーポッターの世界や!」という声も上がりましたが、大学では生命現象のメカニズムを解明したり、診断技術を開発したりするのに使っています。)

8)入試対策講座

OC2011S_入試対策
(入試制度の説明のあと、過去問を解いていただき、傾向と対策について解説をいたしました。入試対策講座は秋のオープンキャンパスでも実施することを検討していますので、FIRSTの受験をお考えの方は、ぜひご参加下さい。)

 

 9)余談

OC2011S_差入
(事前の発表資料や実験器具の準備、当日の案内、説明、プレゼンなど、たくさんの場面で活躍してくれたFIRSTの学生たちに、FIRST学部長から差し入れがありました。)

次回に続きます。