地球の裏側

ポートアイランドキャンパスの目印といえば中央にある「地球」。

外部からは見えにくいのですが、その裏側にはFIRSTの学生のためだけのヒミツの空間が隠れています。今日はその地球の裏側の紹介です。

地球の裏側には、写真のようなウッドデッキがあります。ベンチもあるので、暖かい日にはウッドデッキでランチも食べられます。

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(地球の裏側。雨に濡れたウッドデッキがひかっています。)

また、地球を囲むようにツツジが植わっていて、季節を感じられる憩いスペースになっています。あいにく、今週は雨続きでほとんどウッドデッキに出ることはできませんでしたが、窓越しでも、雨に濡れるツツジはきれいですね。

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FIRSTの看板娘

FIRSTはキャンパスも非常に個性的ですが、そこで活動する学生さんたちも個性的な面々がたくさんいます。今日は、このFIRSTをこよなく愛し、このFIRSTの看板娘ともいえる、国広さんを紹介したいと思います。

国広

こんにちは! FIRST1期生で、今、3年の国広潮里です。早いもので、私がFIRSTに入学してもう3年が経ってしまいました。入学式がつい昨日のことに感じるくらい、あっという間に時間が過ぎてしまった気がします。でも、充実した3年間を過ごせ、その中でたくさんの思い出ができました。

Q1.FIRSTに入学を決めた理由を教えてください。
「私は高校生のころから甲南大学が大好きで、甲南大学に進学しようと思っていたんです。どの学部に進学しようか決めようとしていた高校2年の時、たまたま水族園で行われていた実験講座に参加して、甲南大学に新しい学部ができることを知りました。それがFIRSTでした。それから1年後のオープンキャンパスでFIRSTの先生方が行っていた実験体験講座に参加しました。遺伝子鑑定の実験だったのですが、私の実験結果が上手くとれなかったので、次の日も特別に実験をさせてもらって…としているうちに、たくさんの先生方や、事務の方にお世話になって、なんて素敵な学校だろう!!と思って、FIRSTを目指しました。」

Q2.FIRSTに入ってよかったと感じたものは何ですか?
「FIRSTに入学してみて一番いいと思っているのは、やはり「マイラボ」です。マイラボでは、大学院の先輩や同級生、後輩とたくさん話をすることができ、短時間で心から打ち解けられる絶好の場になっています。マイラボを通じて私もたくさんの友達をつくることができました。FIRSTは一学年の人数は少ないですが、人数が少ない分、とても濃い人間関係が作れるので、私にとってFIRSTはもうひとつの家族みたいな感覚になっています。」

Q3.この3年間で一番印象に残っていることは何ですか?
「一番印象に残っていることは、摂津祭(大学祭)で模擬店を出したことです。1年生の時は、1期生全員で協力しながら綿菓子屋を出店しました。岡本キャンパスに居場所がない私たちFIRSTは、模擬店を出そうにも、準備物を置いておく場所がないんです。それを、みんなで手分けして、朝早くポートアイランドキャンパスから運んだり、他の部活の方に置いてもらったりと、売り出すまでの苦労もたくさんありましたが、その分、終わった後の達成感、充実感はすごいものでした。2年生の時には、1年生も加わってサーターアンダギーのお店を出店しました。1年生の時は、何もわからない状態で手探り状態だったのですが、1年目の経験と後輩が加わって倍のアイデアが出てきたこともあって、1年目以上の達成感、充実感を味わうことができました。準備などを通じて先輩と後輩の絆ができるとても大切なイベントになったと思っています。そういうこともあるので、今後もFIRSTの伝統として続けていければと考えています。」

摂津祭2010

Q4.大学の活動以外で取り組んでいることは何かありますか?
「今は学生を全力でやろうと思っています! というのも、2年生の頃、将来に悩んでいて、何をするにも『わかんねぇ!』っていう気持ちになってしまっていました。そんなことで時間を費やしてももったいないので、とりあえず何か面白いことをしよう!と思い、考えた末に思いついたのは『沖縄にいこう!』という答えでした。昔から水族園で働いたりしていたので、自然とそういう発想になったんだと思います。そして、この2月に沖縄の黒島という小さな島に2週間、ウミガメの研究所で研修をさせてもらい
に行きました。そこで、いろいろなことを体験させてもらううちに、とにかく学生のうちには学生にしか出来ないことをしなくちゃ!と思うようになり、今は、悩むよりも毎日の学生生活を大切にしようと思ってがんばっています!」

Q5.最後にメッセージがあれば。
「毎年、毎年、何が起こるかわからないFIRSTが私は大好きです! 皆さんも是非FIRSTを目指してがんばってください!」

FIRSTの魅力は、中で活躍する学生さんたちにあるといってもいいと思います。オープンキャンパスなど、在学生と話せる機会がたくさんありますので、是非一度キャンパスを訪問いただき、在学生たちと話してみてください。


今週の2年実験 〜画像紹介〜

 今週の2年生の実験(バイオ分野以外)の様子を、画像で紹介します。

《 ナノバイオ実験 》
(設計した通りのペプチドがきちんと合成されているかを確認している学生たち。指導教員からデータの解釈の仕方を習い、結果に一喜一憂。)

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chromato

《 ナノ実験 》
(将来、英語で論文を読み書きするので、今のうちから科学英語に慣れるよう、有機合成の実験テキストは英語にしてあります。)

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(反応後の溶液を中和。炭酸水素ナトリウムを一度に入れすぎて、溢れそうな泡に少し慌てています。僕も学生時代はよく溢れさせました。)

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(核磁気共鳴分光装置(NMR)を使って、合成された化合物の構造を確認。)

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(NMRは極めて高価で、かつ、壊さないよう取り扱いに注意が必要な装置ですが、将来、化学系の研究をするためには欠かせない重要な装置なので、2年生の段階から使ってもらっています。おそらく2年生が自分でNMR測定を行える大学は他にないのではないでしょうか。ちなみに、左奥の銀色のタンクの中には、液体ヘリウムで冷却された超伝導磁石が入っています。)


今週の2年実験

 今週の2年実験は、(ナノ実験とナノバイオ実験は前回紹介したので)バイオ実験を紹介します。
 バイオ実験では複数のテーマを並行して進めています。内容の一部は、1年時にすでに行っているものと同じですが、そのかわり「自分で段取りをして、計画をたて、準備し、実験を進めていく」ことが求められます。しっかり内容を理解していないといけません。
 
【遺伝子診断】
 遺伝子診断という言葉は高校生の皆さんもよくご存知だと思います。遺伝子は酵素等の設計図にあたるものですから、遺伝子を調べることで、どのようなタイプの酵素を持っているかがわかります。よく知られている例は「酒に強い・弱い」ですね。エタノール(アルコール)を、アセトアルデヒドを経て酢酸にまで変換する「酵素」の働きが正常な人はお酒に強い。逆に、それらの酵素を持っているが、その働きが弱い人はお酒に弱いというわけですね。
 で、遺伝子診断の方法ですが、まず、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)という方法で、調べたい酵素の設計図に相当する遺伝子のコピーをたくさんつくります。そうしないと、もとの遺伝子だけでは量が少なすぎて、うまく分析できないからです。
PCR
(PCRで機器の操作に苦しむ学生。「以前に教えたこと」を二度三度教えるということは、教員は基本的にしません。苦しんで自力で前に進んだ分、よく身に付くのです。)

 この実験のおもしろいところは、「何を調べるか」を自分たちで考えて、遺伝子のどの箇所のコピーをつくるかを設計する点にあります。ある学生は「血液型」を、ある学生は「酒に強いかどうか」を、また別の学生は「朝に強いかどうか」などを調べていたようですね。
 今日は、PCRで増やした遺伝子を電気泳動という操作にかけて、遺伝子の型を調べる、つまり、診断の結果を出す過程に取り組んでいました。

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(さあ、遺伝子診断の結果は? )
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「先生。結果以前に、私の遺伝子が見えないんですが。」
「遺伝子がない? 新人類かも?」

【遺伝子組み換え】

 先週までにGreen Fluorescent Protein(GFP、緑色蛍光タンパク質: ノーベル賞で一般の方にも有名になったあの「光るタンパク質」です)の遺伝子配列を大腸菌に組み込んであります。今週はその大腸菌を培養して、狙い通りに大腸菌がGFPをつくりだしているか、確認しようという実験です。GFPは光るので遺伝子がきちんと導入できたかどうかの確認が簡単、これがGFPがバイオテクノロジーによく使われている理由ですね。
GFP

(「光るタンパク質」が取れたことを確認。白黒画像なので緑には見えませんが、白く光っているのがGFP。) 
 

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(遺伝子組換大腸菌によってつくられたタンパク質をゲル電気泳動で分離。画像は、ゲルを剥がして、ゲル内で分離されたタンパク質をこれから確認するところです。使っているヘラは、そう、お好み焼きのコテ。細かい作業にはもんじゃ焼き用の小さなコテも使います! )

 さて、1、2年生の実験は、これで5週間の実験を終えたことになります。来週からは、ナノ→バイオ→ナノバイオ→ナノというローテーションを行って、違う分野の実験に取り組んで行きます。頭の切り替えが必要ですよ!

今週の1年実験

 1年生の実験は今日で5日目。これまで3つの班に分かれて、それぞれナノ、バイオ、ナノバイオと3つの分野の実験を行ってきましたが、今日で一区切り。来週からは、各班、違う分野の実験に取り組んでいくことになります。

 ナノ実験では〈再結晶〉に取り組んでいました。再結晶というと高校化学の教科書でも初めの方に登場するので、初歩的な実験と思われるかもしれませんが、溶質と溶媒の性質の深い理解が求められ、さらには実験者のセンスと経験まで問われる、プロにとっても大変難しい実験なんですよ。

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このように溶媒によって析出の仕方がまったく違います。なぜか? レポートにしっかり考察を書いてくださいね。

 最終回ということもあって、実験の合間にはこれまでの実験内容をまとめたり、データを整理する姿も見られました。実験が終われば一週間かけてレポート作成。ここで調べれば調べるほど、考えれば考えるほど、確実に力がつきます。逆に、締め切り直前にあわててレポートを書いているようでは ...。他の授業の宿題もあって大変だと思いますが、頑張って!

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(バイオ実験で、パートナーと実験内容を確認し合ったり、実験ノートを整理する学生たち)