今週の2年生実験

以前にも紹介しましたが、2年生のナノ実験、その中でも有機合成に関する実験のテキストは英語で書かれています。これは将来(といっても2年生にとっては1年後)、研究に近い実験をするときに(つまり未知の事柄にチャレンジするときに)、参考になるのは教科書・参考書の類よりも、論文であることが多いからです。で、論文というのは、多くの人の目に触れるように英語で書かれていることが多いわけです。

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さて、今日はちょっと趣向を変えて、問題形式。下の画像の操作、テキストのどの部分に相当するでしょうか?

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英語が得意な方、化学に興味がお有りの方、ぜひチャレンジしてみて下さい。このブログをご覧の高校生のみなさんは、夏のオープンキャンパス(8月6日,7日)の際にポートアイランドキャンパスにお越しの上、正解をお申し出いただければ良いことがあるかも!?

下はバイオ実験とナノバイオ実験の様子です。

bio0621
(実験内容について確認中。実験を始める前に完全に頭に入っているとよいのですが 。。。)

nanobio0621
(紫外可視スペクトルを測定して、合成したペプチドの収量を調べています。)

スパコン世界一

先日「お隣はスーパーコンピューター」で紹介した次世代スーパーコンピューター「京」が、計算速度の世界ランキング1位に認定されたそうです。ランキング2位は中国・天津にある「Tianhe-1A-NUDT TH MPP」で、「京」のおよそ3
分の1の性能となっているそうです。また、「京」の完成予定は2012年11月だそうで、まだ途中段階で1位となるって・・・完成したら・・・。期待は膨らむばかりです。

FIRSTがポートアイランドに新設された当初は、周りの企業様も少なく「京」が隣に建設されたことをとてもうれしく思いました。それもあって、ランキング1位というニュースは自分たちのことのように感じてしまいます。

「京」の世界最速の計算速度を利用して、太陽光発電のための新材料開発や、防災計画の精密な気象予測や地震・津波影響予測などの幅広い分野での活用が期待されているそうです。

やっぱり世界1位でないとダメですよね。


少人数クラスの絆

「学部の定員はどのくらいがいいだろう?」

新学部・フロンティアサイエンス学部の構想を練っていた若手教員(といってもアラフォーですが)で議論を交わした一つの結論が35名でした。議論を交わしたと書きましたが、実は議論らしい議論はなく、「35~40名なら、全員が互いを知っているという集団になる」というのが一致した見解でした。そのメリットはいろいろありますが、ひとつは絆、といえるでしょう。

先日、A期末試験打ち上げのレクリエーションが行われましたが、その企画、準備、運営のチームワークをみて、「この子たちは卒業後どこに行っても活躍できる」と強く感じました。

この絆が大きな財産になるのは、卒業の後です。まだ、FIRSTには卒業生がいませんので、ほぼ同じ規模の学科(ブログ管理人の出身学科)のエピソードを書きたいと思います。1学年40名の学科です。

昨年、学科設立50周年を記念して全体同窓会があったのですが、同級生はもちろん、上下の学年まで久しぶりに会うのが懐かしく、親しく話すことができるのは、少人数ならではのことだと思いました。(FIRSTはマイラボがあるから、上下の繋がりはさらに強いでしょう)。

いくつかの世代がスピーチをしましたが、そのうちの1人は、卒業後に起業した20代の女性。化粧品企業の研究開発の部署に勤めていたのですが、もっとカスタマー寄りの仕事がしたいと、一念発起、会社をやめて自ら起業したのだそうです。しかしぜんぜんうまくいかず、開店休業状態。そんなとき、同級生から久しぶりに会おうと声が掛かって集まったところ、「○○ちゃん、みんな応援しているよ」と封筒が。同級生が声を掛け合って資金集めをしてくれたそうなんです(その額○十万円!)。

envelope

その資金を手にしたときに、みんなの気持ちを無駄にはできないという思いから、仕事に対する考え方や行動が、がらりと変わったというんですね。それまでの甘さが消えて、仕事がうまく行き始めたというんです。いやあ、私、それを聞いて感動しました。ますますその学科への愛着が湧きました。在学中はあまり感じたことなかったんですが(笑)。

FIRSTの学生たちには、卒業後、どんな絆が生まれるんだろう。FIRSTが、卒業後にさらに愛されるなるような学部になればいいなあ。


梅雨の合間の夕空

キャンパスからの夕景・第2弾です。
今週はずっと梅雨模様、という予報。でも、日の入り前に少しだけきれいな空が見られました。

夕景

(ポートアイランドキャンパスから見た北側(六甲山側)の空です。 8月の「みなと神戸海上花火大会」のときには7階から花火が見られるんですよ!)


T-Learning(ティー・ラーニング)

E-Learningというのは電子教材などを使った学習のことですが、T-Learningというのは皆さん聞かれたことがないと思います。これは、フロンティアサイエンス学部の教員相互授業参観のことです。専任教員の講義科目でそれぞれ最低1回は、参観を実施することになっています。

lecture

T-Learningという名前は「Teacher(教員)も学ぶ」というところから付けられました。学ぶのは「授業を参観する教員」か「授業を実施する教員」か? こたえは両方です。
 
「授業を参観する教員」は参観した授業の良いところを参考にすることができます。また、自分の専門と異なる授業では、授業内容自体が改めて勉強になることもあります。

「授業を実施する教員」は、参観した教員からのコメントを参考にすることができます。改善すべき点を指摘してもらうこともあれば、良かった点を指摘されて励みになることもあります。

大学教員は基本的には研究者。「教える」ということに関しては、教育されたわけでも免許を受けたわけでもありませんから、授業の仕方などについて、継続的な向上のための努力をすることは欠かせません。

それと、何より大事なことは、教員が互いにどのような授業をしているか、内容、授業の様子、学生の関心度・理解度なども含めて、参観によって知ることができるということです。学部教育を考えるときに、このような情報の共有がなければ、各教員が「自分の授業では・・」という観点のみで意見を交換しがちになり、なかなか建設的な議論にはなりません。

 高校までは文部科学省の指導要領というガイドブックがあり、どの授業でどんな内容を教えるか、ということはある程度決まっています。しかし、大学の授業科目の内容は、学部で独自に考える事項ですから、「誰がどんな授業をしているかわからない」というわけにはいきません。参観は、各授業の役割や学部教育全体における各授業の位置づけや役割を再確認し、必要があれば改善していくのに役立つというわけです。

この制度は、新学部の構想段階で「教員の経験」をもとに採り入れられました。実は、私たちは大学時代に良い授業を受けたという経験があまりありません。もちろん、中にはすばらしい授業もありましたよ。でも、多くは「先生が前で教科書を朗読しているだけ」とか「先生が黒板に向かって独り言のようにつぶやいているだけ」とか「先生が板書してそれを写すだけ」とか、、、、中には「私は体の具合が悪い。単位はあげるから授業には出んでよろしい。」と授業もありました。

愉快な思い出ではありますが、ずいぶん無駄な回り道をした、という思いがあります。大学に入ってすぐに、専門分野のおもしろさを感じられる授業に出会えていたら、、、、専門分野をしっかり学べる授業に出会えていたら、、、、 フロンティアサイエンス学部の学生たちには、そんな授業に出会わせてあげたい、というわけで、学部開設時から継続的にT-Learningを実施しています。

実際に参観を行ってみての感想は(ブログ編集者の個人的な感想ですが)、、、「大変参考になる」ということに尽きます。本当にどの授業にも参考になる点がたくさんあります。それから「授業の質が高い」。自分が大学生のときにこういう授業を受けたかった、と思います。

観られる方は、、、、これは、緊張しますよ! 参観日が決まっているわけではなく、いつ観に来られるかわからないので、毎回毎回、すごいプレッシャーです。