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いよいよ授業開始です

2022年度の授業が始まりました。

本日、火曜日は1年生実験の日です。

1年生にとっては、はじめての大学での実験、しかも、グループを組む相手ともほぼ初対面、ということで、緊張しているのでは?

早速、実験室を覗いてみましょう。

https://youtu.be/0kaJ4LJ-Xb4

初日ということで説明の時間も長かったようですが、みなさん楽しんでいた様子で、また、緊張しながらも集中して取り組んでいたのが、とても良かったなあと感じた次第です。

実験内容については、別の記事で紹介していきますのでお楽しみに。

また、一昨年度の実験の様子を、甲南大学ホームページのWebオープンキャンパスのサイトでご覧いただけます。こちらもぜひご覧ください。

https://ch.konan-u.ac.jp/event/web-opencampus/gakubugakka_first/

いろいろな動画がアップされていますが、下から3段目の「実験科目の123」です。


毎週火曜は1年実験の日(1)

(「入学したらすぐ専門実験」から続く)

 

今日紹介するのは1年生の化学系(ナノ)のテーマ。

内容は「クロマトグラフィーによる分離と分析」です。

使用するのは「薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート」。アルミ板の上にシリカゲルがコーティングしてあります。

 

TLC0

(アルミ板なので裏は銀色、表はシリカゲルの白色です。幅1 cm × 高さ5 cmくらいの大きさに切って使います。)

 

このTLCプレートを使って、渡された未知試料の正体をつき止めていく実験です。ちょっと謎解きみたいですね。

シリカゲルというと乾燥剤を連想される方もいらっしゃると思いますが、シリカゲルが捕まえる(吸着する)ことができるのは水だけではありません。水に性質が近い物質ほど(専門的には、極性が高いとか水素結合性が高い、などといいます)、よく吸着することができます。

 

というわけで、TLCプレートの下の方に、試料溶液で「点」を打って、溶媒を下から上に染み込ませていくと・・・

 

TLC2

(毛細管を使って、TLC板の上に、微量の試料溶液を「点」のように付けます。)

TLC1

(ガラス瓶の中で、下から上に有機溶媒を染み込ませていくと・・・)

 

シリカゲルに「吸着しやすい」物質は上に移動しにくく、逆に「吸着しにくい」物質は溶媒とともに速く上に移動していきます。

 

TLC3

(紫外線を吸収する物質は、紫外線ライトを当てることで「どこまで移動したか」を観察することができます。)

 

この移動距離を、いろいろな他の物質と比べてみることで、未知試料の正体を特定するのです。

 

操作は決して難しくない実験ですが、この実験から学べる事柄は山のようにあるので、化学の基礎を身につけるにはとても良い実験です。調べたり考えたりするポイントが多いのでレポートはたいへんだと思いますが、1年生のみなさん、頑張ってください。


水曜と木曜は2年実験の日(2)

「水曜と木曜は2年実験の日(1)」から続く)

今回紹介するのは、遺伝子工学の実験。

大腸菌の遺伝子を組み替えて、つまり、新たな設計図を大腸菌の中に送り込んで、私たちが意図したタンパク質を大腸菌に生産させる、という実験です。

実験2-1

(分野が違うと、有機合成とは使用する器具もぜんぜん違いますね。)

ゲル電気泳動という、タンパク質を大きさによって分離することができる装置を使って、目的のタンパク質が生産されているかどうかを調べます。

実験2-2実験2-3

実験2-4

(ゲル電気泳動:この装置では下部にある電極がタンパク質などを引きつけて下方向に移動させる。大きなタンパク質ほどゲルの網目構造に引っかかって移動が遅く、逆に、小さなタンパク質は網目構造のあいだをすいすいと通り抜けることができるため、速く移動する。)

さて、こちらが結果。

実験2-5

狙い通りに大腸菌にタンパク質をつくらせることができたようですね。

遺伝子組み換えという言葉に対して、ひょっとしたら受験生の中には負のイメージを連想される方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも実際には、病気になるメカニズムを解明したり、新しい薬の標的を見つけたりと、“生命”を“化学”したり、それを社会に活かしたりするのに欠かせない、とても重要なテクノロジーなんですよ。

 

「水曜と木曜は2年実験の日(3)」へ続く