月別アーカイブ: 2017年5月

水曜と木曜は2年実験の日(2)

「水曜と木曜は2年実験の日(1)」から続く)

今回紹介するのは、遺伝子工学の実験。

大腸菌の遺伝子を組み替えて、つまり、新たな設計図を大腸菌の中に送り込んで、私たちが意図したタンパク質を大腸菌に生産させる、という実験です。

実験2-1

(分野が違うと、有機合成とは使用する器具もぜんぜん違いますね。)

ゲル電気泳動という、タンパク質を大きさによって分離することができる装置を使って、目的のタンパク質が生産されているかどうかを調べます。

実験2-2実験2-3

実験2-4

(ゲル電気泳動:この装置では下部にある電極がタンパク質などを引きつけて下方向に移動させる。大きなタンパク質ほどゲルの網目構造に引っかかって移動が遅く、逆に、小さなタンパク質は網目構造のあいだをすいすいと通り抜けることができるため、速く移動する。)

さて、こちらが結果。

実験2-5

狙い通りに大腸菌にタンパク質をつくらせることができたようですね。

遺伝子組み換えという言葉に対して、ひょっとしたら受験生の中には負のイメージを連想される方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも実際には、病気になるメカニズムを解明したり、新しい薬の標的を見つけたりと、“生命”を“化学”したり、それを社会に活かしたりするのに欠かせない、とても重要なテクノロジーなんですよ。

 

「水曜と木曜は2年実験の日(3)」へ続く


地球の裏側

地球の裏側といっても、ポートアイランドキャンパスの「地球」のこと。

研究成果を世界に発信するという意味を込めた、キャンパスのシンボルです。

実はこの地球の内側は図書室。

ドーム天井の癒しの空間で、落ち着いて調べものや考えごとができる、と学生さんにも好評です。

 つつじ1 つつじ2

(図書室の外観とドーム天井。学生によると、ソファに寝っ転がって天井を見上げる気持ちいいのだとか。)

地球の裏側(2階)はウッドデッキになっていて、今の時期は、ツツジを楽しむことができます。

地球の陰になっているので神戸のほかの場所よりも遅くまで花を楽しめるんですよ。

つつじ3つつじ4

(ウッドデッキのツツジと、隣接の自販機コーナー。)


入学したらすぐ専門実験

 

学生さんに「フロンティアサイエンス学部を受験した理由は?」と聞くと、

よくある答えが「たくさん実験ができそうだったから」。

1年のときから専門的な実験科目があるのが魅力的だった、とのことです。

実際、少人数の学部ということもあって、実験のための時間も、一人あたりのスペースも、たっぷりと用意されています。

1年生の実験内容は、生物学から化学まで幅広く、前後期それぞれ3テーマの実験を5週間ずつ行います。

  専門1

生物系(バイオ実験):「大腸菌の遺伝子組み換え」を通じて、タンパク質の生合成の原理を理解するとともに、バイオテクノロジー技術の基礎を習得します。

専門2

化学系(ナノ実験):「クロマトグラフィーによる分離と分析」を通じて、有機化合物の性質を理解するとともに、化学の実験操作の基礎を習得します。

専門3

融合系(ナノバイオ実験):「緩衝液の作製と性質の調査」を通じて、pHや化学平衡の概念を理解するとともに、測定機器の使い方や、パソコンによるデータ解析やグラフ作製の方法を習得します。

 

これから3回にわたって、それぞれのテーマの様子を紹介していきますね。


サラダバイキング

先週のサラダバイキング企画。

普段野菜不足に陥りがちな学生さんには、ありがたい企画だったのではないでしょうか。

サラダ サラダ2

(海が見える7Fカフェテリアでサラダバイキング)

このように甲南大学生協ポートアイランドキャンパス店では、

学生さんの声に耳を傾けていろいろなフェアが企画されています。

学生のみなさん、何か良いアイデアがあれば、

同学年の学生生協委員にどんどん伝えていきましょう。

 ところで、サラダの横の掲示に「おかわりは1回」とあるのですが、前日はおかわり自由だったんですよ。誰か、食べ尽くしたのかな?

 


水曜と木曜は2年実験の日(1)

今日は2年生の学生実験の様子を紹介します。

フロンティアサイエンス学部では水曜と木曜の午後が2年生の学生実験の時間帯です。

(ちなみに、学生実験というのは、主に1−2年生がテキストに沿って行う実験のことで、

主に3−4年生が研究室で行う「研究活動」での実験と区別するために使う用語です。)

1クール(5週間)につき、3つの実験テーマから1つを選択する方式になっています。

 

こちらは有機合成の実験。

化学反応によって有機化合物をつくります(専門用語で「合成する」といいます)。

実験1

(マグネティックスターラーという磁石の力で撹拌する装置を使って、薬品を混合していきます。)

実験2

(ロータリーエバポレーターという装置を使って、溶媒を蒸発させて、固体の色素を得ます。)

医薬品や診断試薬といった、役に立つ有機化合物を合成する力をつけるための基礎トレーニングです。

今日はたまたまビーカーを使った簡単な反応で、見栄えがしませんが・・・。

合成した化合物は、なかなか面白いんですよ。

 実験3

(同じ色素でも、溶かす溶媒によって色が変わる。)

温度や溶媒によって色が変わる「クロミズム」という性質をもった色素です。きれいです。

 分子が、その周囲の環境によって色を変えるという性質は、からだの中や自然環境中の異常(つまり病気や環境汚染)を見つけるのにも役立ちます。

フロンティアサイエンス学部には、ガンやアルツハイマー病などの異常を、

色の変化で知らせてくれる色素を研究している研究室もあるんですよ。

 

「水曜と木曜は2年実験の日(2)」に続く