カテゴリー別アーカイブ: FIRST誕生の秘話

動画で見るフロンティアサイエンス学部

前回の記事ではポートアイランドキャンパス(PIキャンパス)の周辺環境について書きましたが、「フロンティアサイエンス学部(FIRST)があるPIキャンパスの、中はどうなっているの?」

・・・と、キャンパス自体に関心がお有りの高校生・受験生のみなさん。

まずは手軽に「動画」がおすすめです。

甲南大学のサイト「動画で見る甲南大学」にも載っていますが、甲南学園広報部がYouTubeにもアップしているようです。

 

まずはロングバージョン。『バーチャルキャンパスツアー』編です。

 

つづいてショートバージョン。こちらは『学生の声』編です。

 

なお、2年前に作製した動画なので、登場学生の現在の学年は「当時+2」ですね。

私も久々に見ましたが、現3年生(当時1年生)の初々しいこと!

 

これらの動画を見て、「直接見てみたい!」(学生をじゃなくてキャンパスをですよ)、と思われた方はぜひご来学ください!

やはり直接ご覧いただくのが一番ですから。

秋期オープンキャンパス(10/1)もありますし、当日の都合が悪い方は、ポートアイランドキャンパス事務室に連絡していただければ、普段でも見学することができます。

手のあいている教員がいれば、マンツーマンで説明しながら館内をご案内します。

お気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせ先はこちら

 


大学院の授業(ナノバイオ研究演習1)

FIRSTの大学院(フロンティアサイエンス研究科)にも特徴的な演習科目が導入されています。修士課程に2つ、博士後期課程に3つの計5つあるのですが、そのうちの修士課程で履修する「ナノバイオ研究演習1」について、今日はご紹介したいと思います。

 皆さんの中には、大学院では授業らしい授業なんてほとんどなかったよ、という大学院出身者も多くいらっしゃるのではないでしょうか? 私たち教員の多くもそうでした。大学院で学んだことといえば、もっぱら自分の学位論文に関係することだけで、それも独学だったという方も多いと思います。

 そして、研究を進めるうちに自分が取り組んでいる研究におもしろさや、やりがいを感じ、この研究を生涯続けたい! と思っていた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 大学院修士課程では、自分で自立して研究を進める能力を育成することが、どの大学でも共通に掲げられている目標であり、そういう熱い思いをもって研究に取り組んでいただくことに何の問題もありません。

 しかし一方で、大学で行っている研究と全く同じ研究を、企業に入社後も継続してできる人はほぼいないのも事実です。企業には経営方針の中で設定された研究テーマ、プロジェクトがあり、入社後に研究部門に配属された場合、その研究に従事する必要があります。

 そのため、入社後、上司から「この研究テーマをして欲しいから、調べて実験計画を練ってくれ!」と依頼され、研究計画を練る必要も生じます。ところが、最近の新入社員にはそう指示すると「何をどう調べたらいいんですか?」と聞き返す人が多いそうです。「えっ、大学では習っていないの?」と聞くと、「よくわかりません」と答えるそうです。しかし、大学で取り組んでいた研究については関連研究も含めてきちんと答えられるとのこと。

 学部4年、修士課程と研究をしてきたはずなのに、なぜそのような基本的なことができないのか?

 おそらくは、教授から渡される研究資料を読むだけで、異分野の新しい技術に興味を持ったり、それを調べたりした経験がなかったためではないかと我々は考えました。それで、講義を通じてそのような素養を身につけてもらいたいと誕生したのが大学院修士1年が受講する「ナノバイオ研究演習1」です。

「ナノバイオ研究演習1」では、研究シーズや先行研究に関する調査能力を身につけることを目的としており、以下の3点が学生さんには課されています。
(1)自分の修士論文研究と異なる興味深い研究シーズを探してくること。
(2)そのシーズについて報告されている先行技術を調査し、総説の形で纏めること。
(3)総説の内容を、教員や学生に対して15分間でプレゼン(口頭発表)すること。

 夏前から準備をすすめ、 昨日と一昨日の2日間、最後の成果発表である(3)のプレゼンが行われました。

ナノバイオ研究演習3
ナノバイオ研究演習1

 大勢の聴衆を前にしたプレゼン・質疑応答は良い経験になったことと思います。また、教員からだけでなく3年生からも質問が出るなど、質疑応答も活発に行われました。

ナノバイオ研究演習2

 これまでに読んだことがない分野の論文を探してきて、読んで、纏めるわけですから、受講した多くの学生は大変だったと声を揃えて言います。しかし一方で、日頃から論文を探したり、読むようになった。自分の研究テーマ以外にも興味を持つようになったという学生も少なからずいます。

 そのような声を聞くと、講義をつくった甲斐もあったのだろうと思う今日この頃です。


マイラボから垣間見える研究風景

FIRSTの一番のおすすめポイントは「マイラボ」です。
それについては、以前にその誕生のお話について紹介したことがありました。

 このマイラボには、一言では表せない我々教員の思いがたくさん詰め込まれています。
今回は、その1つ(動線と設計)についてご紹介したいと思います。

 理系として大学に入学すると、「将来、自分はどんな研究をするのかなぁ~♪」と夢膨らませた人も多くいるのではないかと思います。実際、私たちもそうでした。

 ただし、大学入学直後には一般教養の講義がほとんどで、専門科目も少なければ、研究室で最先端の研究をしている教授の先生方をみることもほとんどない環境におかれていました。そのため、研究ってどこでどんなことをしているのかすら想像だにできなかったことを覚えています。

 というのも、当時の大学は教養課程と専門課程に分かれており、講義を受ける講義棟と教授の先生方が研究を行っている研究棟は、全く違うところに建てられていました。また、教養課程を教える先生と専門課程を教える先生が別の先生であることも多かったと思います。そのため、研究室に配属される4年生になるまで教授の先生方の研究を知ることはありませんでした。「もっと早く知っていればあの授業を真面目に受けていたのに・・・」、「あの学生実験をちゃんとやってればよかった・・・」と配属された後に後悔したことも何度かあります。将来、何をするのか知らなかったがためにきちんと勉強できなかった、そんなことはできるだけなくそう! 研究を知っていた方が勉強のモチベーションも上がるはず! そんな思い(願い)も、教員による話し合いでは多く話し合われました。
その思いをどう具現化するのか、動線や設計などいろいろと話し合いできあがったのがこのマイラボです。

 これは、マイラボから見える教員の研究室がある研究ゾーンへの廊下です。

マイラボ廊下

 マイラボから数メートルの距離に教員の研究室があり、何か知りたいこと、聞きたいことがあればすぐにでも行ける環境にあります。(学生曰く、数秒で行ける、確かに手前の教員の研究室には5秒もあれば行けるかも知れません)

 また、これはマイラボの席から見える「フロアのグループ測定室」の風景です。

マイラボグループ

 廊下の先には各教員の研究室があるのですが、マイラボに一番近いところにはフロア共通のグループ測定室があり、その壁はガラス張りとなっています。マイラボに座っていると、グループ測定室の中で行われている研究が自然と目に飛び込んできます。FIRSTでは、1年生から一人ひとりに席があるので、ガラス張りの測定室の中で行われている研究のシーンがいつでも目に飛び込む環境になっています。「研究室に入った先輩たちは何やら高そうな機械を使って研究をしているんだぁ・・・。あれっ、そういえばこの前の学生実験で、あの機械使ったような・・・ もっときちんと使い方を学んどかないといけないじゃないか!」なんてことも考えるかも知れません。

 当然、教授の先生たちがどんな研究をしているか、直接、研究室に聞きに行くこともできたりします。私たちが学生時代には考えられなかったシステムがうまく具現化できたのではないかと思います。
いろいろなことを早いうちに知ることができれば、視野も広がりますし、学びたいことも明確になっていきます。夢を抱いて入学してきた学生さんたちには、多くのことを学んでもらって、将来、優れた研究者として活躍してもらいたいですね。

 そんな夢もマイラボには詰められているんです。今日は、その一端をご紹介いたしました。


タマゴが先か、ニワトリが先か?

物事にはセオリーというものがあり、その順番どおりに物事が執り行われることが多くあります。

これは教育の世界も同じで、セオリー通りにすると学んだことを定着しやすいと考えられています。しかし、あまりにそのセオリーに固執し、囚われてしまうと、むしろ教育効果が失われたりする場合もあったりします。

FIRSTで学ぶ研究分野では、「実験」と「講義」は表裏一体で、どちらもしっかりと学び、修得しなければなりません。仮にどちらか一方の修得が不十分であったり、欠けたりすると、優秀な研究者にはなることが難しくなっていきます。だからこそ、しっかりと学びたいところなのですが、ではどう学ぶのが効果的なのか? 

研究分野におけるセオリー通りの考え方では、①実験技術に関わる基礎知識をしっかりと講義で学び、②学んだ事を実験によって確認する、という方法がよく用いられています。

確かに実験をするときに何をしているのかわからないまま、やってしまうより、何をやっているか事前に講義で学んでおけば、実験に対する理解も飛躍的に上昇する気がしてとても合理的な「セオリー」だと思うのかも知れません。

ただ、実際に自分でやってみると理想と現実は違うものなんですよね。実験をしてみて初めて興味を持つ分野があったりもします。やった後に調べてわかることもたくさんあります。最初に講義で学んだからといっても、膨大に習う講義内容をきちんと理解できていないこともしばしばあります。

また、実際の研究はセオリー通りなのか?といえば、そうでもなかったりします。研究開発はそもそも未知の分野。最初に何を学べばいいのか???

設立準備委員会でもいろいろな議論が交わされました。ただ、この問いに関して、正解も不正解もないんです。最終的に我々が選んだのは実験をしてみて、おもしろければ深く学んでいくというスタイルです。

よかったか悪かったかは、わかるのはだいぶ先のことだと思いますが、学生実験に取り組む学生を見たり、彼らが学年を進行して話を聞くところでは興味・関心の喚起に繫がっているように思えます。

いずれにせよ、表裏一体となる「実験」と「講義」を関連づけながら学び、成長して育ってくれれば嬉しい限りです。


サイエンスライブチケット(Science Live Ticket)

さて、このFIRSTは若手教員が意見を出し合い、優れた人材を輩出するための様々なカリキュラム、システムが導入されています。今日は、そのひとつである「サイエンスライブチケット(Science Live Ticket)」についてお話したいと思います。

このFIRSTは、最先端研究を学び、次世代の最先端技術を創出する人材を育成することを前提につくられました。以前に、最先端の実験技術を学ぶFIRSTの特徴ある学生実験プログラムについてご紹介しましたが、そのような技術を身につけ、実験・研究に取り組めば、学部生のうちからすばらしい研究成果を見つける人もいるかもしれません。そして、自らの手で得た研究成果を世の中に発信するため、たくさんの研究者たちの前で発表する機会も必ず生まれます。その発表の場は、主に学会やシンポジウム、セミナーとなるでしょう。学会では、研究者たちが自分たちの発見した最新の研究成果を発表しており、まさしく研究者たちが自分たちの研究成果を披露し、熱い議論を行う場です。

優秀な研究成果を世に出すための登竜門となる学会。じゃあ、学部の早いうちから学会とはどのようなものか、どんなことが聞かれているのか、発表や質問はどれくらいのレベルなのか、知ってもらっておけばいいじゃないのか?という考えのもとで考えられたのが「サイエンスライブチケット」です。最先端を学ぶ学部なのに、最先端を知らねばどのくらいがんばらないといけないかもわかりませんからね。そのため、このサイエンスライブチケットは、設立当初からFIRSTの学びの柱の一つにも挙げられ、いくつもの企画が実施されてきました。

サイエンスライブチケットの目的は、ポートアイランドキャンパスに学会を招致し、学生さん達に参加してもらったり、学外で行われている学会に参加したりしながら、学会とはどのようなものかを早いうちから知ってもらうことにあります。学生さんは学会に参加してその雰囲気を味わったり、著名な先生の講演を聴いたり、また、場合によっては自らの研究成果を発表してもらうことも想定しています。

開設して3年、一期生たちもこれから本格的な研究に携わることになりますが、最先端の分野で活躍する人材を輩出したいという我々の想いのもとつくった「サイエンスライブチケット」が、学生さん達の成長や将来へと繫がって欲しいものです。

具体的な取り組みや成果はまた後日、紹介したいと思います。