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3年生実験の紹介(3)

設立3年目のFIRST。3年生になった1期生たちは週3日、一人ひとり内容が異なる、専門性の高い実験に取り組んでいます。昨日、1階の測定室の前を通りかかると、3年生のひとりが走査型電子顕微鏡を測定中。物質表面の微細な形状を調べることができる(10億分の1メートルまで見える!)顕微鏡です。
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(顔も写るようにもう少し近くから撮りたかったのですが、本人が大いに照れて、実験に支障をきたしそうだったので遠くから撮りました。 )

また、ある研究室の前を通りかかると、突然、室内の電気が消えて真っ暗に。 なにやら光っているものを観察している様子。
 
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実は紫外線をあてていたんですね。赤く光っていたのは、ポルフィリンという物質。血液中のヘモグロビン内で酸素分子を捕まえる働きをしたり、肝臓内で毒物を代謝したりするなどの働きをしている大変重要な分子です。
 
画像は、カラムクロマトグラフィーという方法で、合成したポルフィリンを精製しているところですが、ポルフィリンも不純物も同じような色をしていて見分けがつかないので、紫外線を照射して赤く光るポルフィリンだけを取り分けよう、というわけです。 


3年生実験の紹介(2)

 ある実験室の前を通り掛かると、3つの反応を同時に進めている3年生を姿が
.....何を合成しているのか話を聞いてみると(もちろん指導担当の先生の許可はいただきました)、いろいろなアゾベンゼンを合成しているとのこと。私なりの勝手な解釈をもとにテーマにタイトルを付けるとこんな感じです。

 「アゾベンゼンの合成と応用 ~ 分子を掴む!放す! 光で制御する“10億分の1メートル”のピンセットをつくる ~」

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 アゾベンゼンという物質は、高校生のみなさんにはアゾ色素の骨格としておなじみですが、面白いことに、光を当てるとシス体からトランス体へ、また、トランス体からシス体へと構造が変わる(異性化する)性質があります。

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 このアゾベンゼンの両端に、分子やイオンを掴む“手”を付けておくと、シス-トランス異性化にあわせて“両手”が開いたり閉じたりして、小さなもの(分子やイオン)を掴んだり放したりすることができる10億分の1メートル(ナノメートル)のピンセットができるというわけです。

 さて、このような分子サイズのピンセットが何の役に立つかというと・・・

 まず薬物送達(ドラッグデリバリー)が挙げられるでしょう。この“ピンセット”で薬分子を捕まえておいて、運び、患部で放す、ということができれば、薬の効果を上げて、しかも(患部以外の場所で薬が作用しないので)副作用を低減させることができます。

 また、(高校生の方にはちょっと難しい話になりますが)生体内反応の制御も可能でしょう。からだの中で働いている酵素やDNAを“掴む”ことによって、それらの働き具合を制御することができれば、この“ピンセット”自体が薬として働く可能性もありそうですね。

 彼が実際にどのような応用を目指しているかまでは聞いていませんが、合成が成功してどんどんその先の実験が進むといいですね。

 翌日、共同測定室の前で彼を見かけたので「どう?合成できてた?」と聞くと、「今、IR(赤外線の吸収パターンから有機化合物の構造を調べる装置)をとってきたんですけど.. ...」とあまりうまくいっていない様子。「実験はいきなりはうまくいかないところが面白いんやん!工夫する楽しみがあるということやん!」という、私の学生時代の先輩の言葉を彼に贈りたいと思います。


春休みの研究(番外編)

ohashi 春休み中に、研究室でのアルバイトというかたちで、研究活動に携わっている熱心なFIRSTの学生たち。

 困るのは食事です。授業が無い期間、キャンパスには1−2年生がいませんので(教職員や大学院生はいるのですが・・・)カフェテリアが営業していないのです。

 そこで、授業が無い期間中は、周辺のいろいろな研究機関の食堂を利用するのですが、今日は、研究指導の先生が、がんばっているご褒美にと、キャンパスのすぐ近くにある花鳥園(花と鳥のテーマパーク)のレストランに連れて行ってくれたそうです。画像は、食後の休憩中に、人間のオオハシ君が鳥のオオハシに遊んでもらっているところだとか。。。

 気分をリフレッシュさせて、午後の実験もがんばれ!


春休みの研究

 FIRSTの学生は夏休みも春休みも研究をします。というと、高校生の方は「自由研究の宿題?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。本当の研究です。

 どういうことかというと、文部科学省から助成金をもらっている研究プロジェクトや、企業との共同研究などに、FIRSTの学生(希望者)が参加してくれるのです。参加する学生にとっても、1,2年生という早い段階から研究経験が積めるし、プロ意識は芽生えるし、バイト料はもらえるし、一石何鳥にもなります。

labwork 画像は実際に研究に取り組んでいる1年生の様子です。大学1年生としては考えられないほど、いろいろな計測機器を使いこなせるようになっています。

 研究成果が、将来、商品化につながればいいですね!


第20回アンチセンスシンポジウム開催

 第20回アンチセンスシンポジウムが、20101223日に甲南大学ポートアイランドキャンパスにて開催され、FIRSTの大学院生も学生2名らが研究発表を行いました。

伊勢田
健太(大学院修士課程2年)
RNase H活性化能の異なるLNAオリゴヌクレオチドの合成およびmicroRNA阻害活性の評価

三村
健太(大学院修士課程2年
ジャンクションポイント近傍の塩基対が制御するRNAスリーウェイジャンクションの形成

 このように自分のキャンパスでシンポジウムがあると、大学院生にとっては良い発表の機会になるのはもちろんですが、学部の1,2年生にとってもシンポジウムの雰囲気を知る良い機会になります(1期生は3年生になったら研究発表してくれるかも知れないなあ)。世話人/事務局を務められた川上先生、長濱先生、それから発表された学生さん
、たいへんお疲れさまでした。

 下の画像はメイン会場になった7階のレクチャーホールです。
アンチセンス2
 学生さんにとっては、受付などの運営に携わるのも貴重な経験です。
アンチセンス


 ちなみに、アンチセンスというのは、細胞内のタンパク質合成のプロセスを制御する「核酸医薬」に関する技術で、ガンをはじめ、さまざまな難治性疾患の治療法として注目されています。


「核酸医薬」についてはこちら(川上研ホームページ)。
http://www.pi.konan-u.ac.jp/kawakami/index.html