カリキュラムの特徴

学びを深め、活かせるFIRSTのカリキュラム

FIRSTでは、学生一人ひとりが自分のビジョンに合わせて、年次進行とともに4年間かけてしっかりと専門知識を修得していけるよう、授業科目を配置しています。

授業科目

1. 生命科学を広く学ぶために4つの序論科目を1年前期に配置

高校では、理科を「生物」「化学」「物理」という3つの異なる科目に分けて習ってきたと思いますが、生命科学分野の学びには科目の境界というものがありません。例えば、細胞の成り立ちを理解するためには、細胞小器官の名前や役割を覚えることに加えて、それらを構成する分子の化学構造を知ることが必要であったり、遺伝子の転写・翻訳現象を理解するためには、物理的な性質を比較することによって転写・翻訳されやすい領域を評価することが必要になったりします。このように、一つ一つの生命現象を「生物」「化学」「物理」の3つの科目の知識で分けて考えるのではなく、分野を横断しながら広い視野で考える必要があるのです。

FIRSTでは、入学した学生から「生物」「化学」「物理」という科目の境界を取り払い、生命科学分野に広く興味・関心を持てるよう、1年前期に「バイオサイエンス序論」、「ナノバイオサイエンス序論」、「ナノサイエンス序論」、「ケミカルサイエンス序論」という4つの序論を必修科目として配置しています。4つの序論を聴講し、高大の接続をとりながら様々な分野に触れていくことで、専門科目の講義に対して「生物」「化学」「物理」の組み合わせで対応する力を身につけるのです。また、1年後期以降の専門科目の選択や、大学になって新しく知る科学分野の中から将来の専攻のビジョンを明確化することも期待されます。

4つの序論

私は高校時代文系で、化学や物理、生物をほとんど習わずにこの学部に入学しました。化学のモル計算も知らないくらいだったので、大学で本当にやっていけるか不安でいっぱいでした。しかし、この学部に入って最初に受講した序論科目では、文系だった私にもギリギリわかるくらいの基礎から講義をしてもらえました。それでも高校時代ろくに理科を勉強してこなかった自分にとって、講義そのものについていくのがかなりキツくて、毎講義わからないところがたくさんでてきました。そういう時は必ず、講義が終わった後すぐに先生のところに質問に行きました。どの先生方も私が本当に理解できるまで何度でも丁寧に説明してくださいました。そのおかげで、今では一番苦手だった化学も理解できるようになり、卒業研究を進めることができています。

谷野 裕一(3期生、大阪府立旭高等学校出身)

2. 自分の専門性を高める基礎専門科目群

FIRSTの専門科目には、序論科目を除けば必修専門科目(全員が共通して履修する専門科目)はありません。なぜなら、広範な生命科学系分野においては、入学してきた学生一人ひとりのやりたいことが違うため、全員が共通して履修すべき専門的内容が少ないためです。

FIRSTでは、専門科目をすべて選択必修専門科目(必要単位数を満たせばどの科目を修得するかは学生の希望で選択できる専門科目)として配置し、学生が自分の興味や将来のビジョンにあわせて自由に選択できるようにしてあります。もちろん、その選択が“つまみ食い”や“バイキング形式”と揶揄されるような幹のないものにならないよう、この後に説明するカリキュラムと履修指導には工夫がされています

大学の講義科目名は見ただけでは分野や内容をイメージしにくいものも多くあるため、学生が専門科目を適切に選択しやすいように、関連する分野の専門科目は「パック」として6科目ごとにまとめてあります。

学生は自分の興味・関心や将来のビジョンにより、科目を履修することとなりますが、前期に履修した序論科目や、FIRST独自の学びナビゲーションシステム「まーなび」や、指導主任面談によって決めることもできます。ただし、社会に出て自分の“強み”となる専門分野をもってもらうため、自由な履修科目選択の中でも1つのパックだけは6科目すべて修得してもらうようにしています(卒業するには基礎専門科目は12科目以上選択する必要があります)。

入学した頃、僕は将来バイオ系の研究者になりたいと考えていました。しかし、そのためにどの専門科目を履修すればよいかわかりませんでした。FIRSTでは、学びたい分野に応じて必要な専門科目をまとめたパックがあり、僕は希望のバイオサイエンスパックを履修して必要な専門科目を学ぶことができました。また、興味を持った他の専門科目も自由に履修することができます。履修してみると他の専門分野の授業もとても面白く、気づけば24科目全ての基礎専門科目を履修していました。そのおかげか、今はバイオ系とマテリアル系の複合領域の研究に携わっています。基礎専門科目は、自分のなりたいものに応じた基礎知識が得られるだけでなく、新しいなりたい自分をも見つけることができると思います。

佐野 由倫(2期生、兵庫県立芦屋高等学校出身)

3. 基礎専門科目で学んだ知識を社会に活かす方法を学ぶ応用専門科目群

基礎専門科目は、生命科学分野での研究を進めていく上での基礎知識を習熟するために重要な科目であり、FIRSTも含めて多くの大学で体系的な講義が行われています。しかし一方で、難解な基礎専門科目が将来的に自分の中でどう役立つのかわからなくなることもあります。FIRSTでは、修得した基礎知識が自分の目指す分野でどう活用されるのか、学生が考え、理解できるように「応用専門科目」となる4つのパック(1パックには4科目がまとめられている)を配置しています。ただし、応用専門科目は、基礎専門科目のようにどれか1つのパックをすべて修得する必要はなく、興味・関心にあわせた自由な履修が可能です。

この応用専門科目を担当するのは、FIRSTの教員に加え、第一線で活躍される研究者、医者、機器開発者、企業研究者、弁理士など、その道のスペシャリストの先生方です。学生は、この科目を受講することで必要な基礎科目があることを知り、将来のビジョンに活かすために“実感した必要性”を基礎専門科目の修得へフィードバックすることが可能です。実際に、既に修得済み(単位取得済み)の授業に、“もう一度勉強し直したい”と姿を見せる学生もいます。

私は入学時から食品や薬に関わる職業に就くのを目標に、基礎専門科目ではバイオ・ケミカル系を中心に履修してきました。応用専門科目でも目的とする食品や薬に関連する科目は全て受講しました。応用科目に共通して言えることは、今まで学んできた基礎知識をどう社会に活かせるかを学べたことです。また、企業や他大学の先生方が教えて下さるので、それまで学んだ知識を広げられ、自分が将来どのような研究をしたいかなど、具体的に考える機会となりました。私の中で一番興味深かったのは「バイオセンシングと環境」という講義でした。食品や薬とは少し離れた分野でしたが、こういう研究をしたい!と思えるきっかけを与えてくれた講義でした。自分が学びたい分野から、自分がやりたいことを知れる、考えられる、そんなことをたくさん学べるのが応用専門科目だと思います。

前田 美穂(4期生、私立滝川第二高等学校出身)

4. 高学年に配置された教養科目

一般に大学における教養科目は、1、2年次に開講されています。これは教養科目の目的が、豊かな人間性の育成と専門科目を理解するための幅広い知識の修得、と位置づけられているためです。そのため、多くの大学では専門科目を2、3年次から学び始めることとなります。一方で、理系進学者の多くは大学に入学する目的が明確であり、入学直後から専門科目を学びたいと考える傾向が強くあります。

FIRSTでは、卒業に至るまでのすべての講義を、学生に目的と動機をもって履修してもらいたいと考えて、学部のカリキュラムを構築しました。その中で、教養科目を、理系として専門科目ばかりを学ぶのではなく、社会に出てからも豊かな人間性をもって生活できる一般教養の育成、と位置づけ、学生がその必要性を感じ始める就職活動前(2、3年次)に配置しました。こうすることで、学生は目的意識をもって教養科目を学べるだけでなく、入学した学生が希望する専門的な学びを、従来の大学のスタイルよりも早い時期から、長い期間をかけて取り組むことを可能としています。

5. コミュケーション技能を高めるプレゼンテーション演習

自分の意見や考えを人に伝えるプレゼンテーション能力は、学会や卒業研究の発表会、就職活動の面接、入社後の企画会議、成果報告会など、大学や社会の様々な場面で必要となっていきます。ところが、プレゼンテーション技術は、社会的には、自分で努力して磨き、高めるものであり、これまで教えられることはほとんどありませんでした。FIRSTでは、教員がこれまでに培ってきたプレゼンテーションの技法(論理的ストーリー展開、スライド作成術、話術等)やノウハウを「プレゼンテーション演習」という講義を通じて系統的に指導します。

プレゼンテーション演習

僕はこの学部に入るまで人前で話すことはとても苦手でした。しかし、授業として受けたプレゼンテーション演習で、他の学生の発表を聞いたり、自分の発表を評価してもらうことで、人前で話すことに少しずつ抵抗がなくなってきました。同時にプレゼンの魅せ方や、話し方のコツもいろいろ学ぶことができました。プレゼン能力は、実践することが最大の上達法と考えられており、FIRSTの学生には様々なイベントで実践の機会が与えられます。僕も昨年の合格者説明会でキャンパスライフについてプレゼンする機会をもらいました。授業の時とは違い、初対面の高校生相手に話すため、どのようにすれば伝わりやすいか、興味を持ち、飽きずに聞いてくれるかなど、よりいっそう工夫して話さなければならず、準備から発表に至るまで多くを学ぶことができました。

山本 真史(5期生、兵庫県立三木高等学校出身)

6. 理系に必要な英語力は科学英語コミュニケーションで修得

FIRSTでは、3年次から研究活動がスタートします。そのため、3年次になる頃には、論文に記載されている先行研究の内容を広く調べ、研究背景を理解、把握する科学英語の読解能力が必要となります。また、研究発表資料の作成など、研究に関連する英語表現力の修得も重要です。そこで、1年次から「科学英語コミュニケーション」という科学英語に関する演習科目を配置し、積み上げ式で科学英語の能力を高めています。

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