昨日(1月28日)、ここ甲南大学ポートアイランドキャンパスや周辺の施設が会場となり、兵庫県の高校生たちによる研究発表会「サイエンスフェア in 兵庫」が開催されました。
高校生や高校の先生方に向けて、FIRSTの学生たちもポスターを展示。
卒業研究や産学連携研究の内容を紹介させていただきました。
(細胞、アルツハイマー病診断、抗酸化物質、化粧品開発などについて発表いたしました。)
昨日(1月28日)、ここ甲南大学ポートアイランドキャンパスや周辺の施設が会場となり、兵庫県の高校生たちによる研究発表会「サイエンスフェア in 兵庫」が開催されました。
高校生や高校の先生方に向けて、FIRSTの学生たちもポスターを展示。
卒業研究や産学連携研究の内容を紹介させていただきました。
(細胞、アルツハイマー病診断、抗酸化物質、化粧品開発などについて発表いたしました。)
今年度もあと約2ヶ月。
今年度ほど将棋が注目を集めた年も珍しいのではないでしょうか。
藤井4段が名人を破ったり、それから何と言っても羽生竜王の永世7冠達成ですね。
そんな将棋界で年度末になると話題になるのが、「昇級」と「降級」。
名人戦・順位戦の成績によっては、来年度戦うクラスが変わる可能性があるわけです。
一番上のクラスにいないと名人に挑戦することはできませんし、一番下のクラスで「降級」になると、名人位を狙うという意味では実質的に引退です。
「昇級」や「降級」が掛かった対戦は、落とせない星をかけた戦いですね。
フロンティアサイエンス学部(FIRST) でも来週から「落とせない戦い」が始まります。
定期試験です。
卒業や留年がかかっていたり、目指す研究室に入るために良い成績を収めたいという学生さんにとっては、まさに落とせない単位をかけた戦い。
いや、試験は来週からですが、戦い(試験勉強)はすでにみんな始めていて、この週末は最後のチェック作業・・・だといいんですが。
我々も、みんなに単位をとって欲しい。
でも、試験を易しくするわけにはいきません。
というわけで、我々にできることは徹底サポート。
学生さんの声があれば、質問に答えたりリクエストに応えて解説を繰り返したりする「キャッチアップセミナー」を開催します。
一昨日にも「有機電子論」のキャッチアップセミナーが開催されていました。
参加は自由ですが、「絶対に落とせない!」と気合の入っている(?)学生さんが集まって熱心に解説に耳を傾けていました。
ちょっと覗かせていただきましたが、有機化学の基礎をきっちりと身につけられる内容。
創薬であれ化粧品であれ、将来、化学で何かを作り出したい、と思っている学生さんには必須の内容ですね。
単位を取ることはもちろん大事ですが、将来役に立つことを身につけるという意味でも、みなさん頑張ってくださいね。
1、2年生の実験についてはこのブログで紹介してきましたが、3年生についてはこれまであまり触れていませんでした。
3年生は、選択した研究室のテーマに取り組んでいます。
昨日、そのポスター発表会がありました。
(ポートアイランドキャンパス7階 ホワイエでの3年生ポスター発表会。「遺伝子薬」や「がん細胞」に関するバイオ系の基礎研究から、「再生医療」や「触媒」といったナノ系の応用研究まで、さまざまなテーマの発表がありました。)
さて、研究室のテーマということは、これは「練習」ではなくて本当の「研究」ですね。
発表では、結果だけでなく、先行研究と比べてどこが新しいのか、どこが優れているのか、ということを含めて、研究の背景や目的をきっちりと話すことが求められます。
また、2年生までの実験と違って、研究内容も各自で違うわけですから、実験の原理や操作についても、正確にわかりやすく説明することが必要です。
このようなトレーニングは、4年生・大学院生と研究を続けていく上で、また、就職活動の面接を克服する上で、欠かせないプレゼンテーション力を身につけるのに役立ちます。
実際に、4年生になってすぐに学会に行って発表をすると、他大学の先生から「本当に4年生?」と驚かれるんですよ。
学生さんたちは年末年始、親戚の家でおせち料理を食べたり、地元の友達と初詣に行ったり、シリーズものの映画を連続で見たり、遠くに旅行に行ったり、いろいろな過ごし方をしたようですね。
そんな、写真を見せてもらった中で、一番印象に残ったのがこちら。
自転車が趣味の1年生が、数十キロ走って学校まで来たそうです。
元日の朝8時にキャンパスに来るなんて、何かすごく秘めたものを感じざるを得ません。
何かはわかりませんが、とにかく期待してるよ、Y君!
同じ日ではないそうですが、岡本キャンパスの友人たちと六甲山などにツーリングに行っているそうです。
なぜ、きつい坂を登るのか?
答えは「下り坂が好き」だからだそうです。
なるほど。
NHKの自転車ツーリング番組でも「人生、下り坂最高!」と言ってますもんね。
さて、受験生の皆さんは、もう少しだけ上り坂を頑張ってくださいね。
上り切った後の気分はきっと最高ですよ。
あっ、でも、入学してから「下り坂最高!」を満喫し過ぎると、4年で卒業できなくなりますからほどほどに、ね。
1年生の実験、最後に紹介するのは「アスパルテームの合成」です。
アスパルテームは、人工甘味料として広く知られている化合物ですね。
ノンカロリーとかカロリーゼロといった食品・飲料に使われているので、みなさんも耳にしたことがあるのではないかと思います。
本来私たちが甘いと感じるものは、ほとんどが糖なのですが、このアスパルテームはペプチド。アミノ酸が2個つながった構造をしています。
糖(グルコース)の構造
人工甘味料(アスパルテーム)の構造
糖とはぜんぜん違う構造なのに、甘く感じられるって不思議ですよね。
人工甘味料のほとんどは糖とは似ても似つかぬ構造をしているので、その発見は偶然によるものが多いようです。
本当の話かどうかわかりませんが、出張中の教授からの「Test it(調べなさい)」という電話の指示を、助手が「Taste it(味をみなさい)」と聞き間違って、試料をなめて偶然に見つかったというエピソードもあるくらいです。
さて、甘いと感じるのは、その物質が、舌の表面にある味細胞、さらにその表面にある甘味受容体という部分に結合するから。
つまり、味覚というのは、それ自体が生物と化学が合わさった話、つまり「生命化学」なんですね。
そのあたりの面白さはまた別の授業のお話。
今日紹介するのは、合成の実験の様子です。
氷-食塩浴で冷却しながら、シリンジを特殊なゴム栓に突き刺して試薬を加えていきます。
試薬が加わると反応熱によって反応溶液の温度が上がるので、温度を管理しながら少しずつ、試薬を滴下していきます。
温度が上がりすぎると反応がうまくいきません。
また、反応容器の上部には塩化カルシウムを詰めた太い管をつけて、外から反応容器内への水蒸気の侵入を防いでいます。
水蒸気が侵入すると、試薬が水と反応してしまって、予定の反応がうまくいきません。
1年生にしてはかなり本格的な合成操作です。
このような操作を何回か経て、フェニルアラニン(アミノ酸)からアスパルテームをつくっています。