今週の1年実験


今週の1年実験はナノバイオ分野を中心に紹介いたします。
内容は【分光光度計を使った色素の定量】です。
まず、一般の方にもおなじみの言葉、色素から説明をはじめていきましょう。

色素のなかには、水素イオン(H+)と結合すると色が変わるものがありますね。高校の教科書に載っているpH指示薬(酸塩基指示薬)ですね。「溶液の色が赤く変わったから酸性だ!」とかいうあれです。

分光光度計という装置は、可視光の吸収(つまり色)を測定できる装置なので、これを使えば目で見るよりも、ずっと厳密に色の変化を調べることができます。厳密に調べる、というのは「どのくらいの量の変化か」というところまで調べる、という意味で、これを「定量」というんですね。

UV

この実験では色の変化を定量的に調べて、「その色素がどのくらい強く水素イオンと結合するか」(←これを読んで、「つまり、どのくらい強い塩基か、という意味ね」と思った方はきっと化学の道に向いている方ですよ)を知ることができるのですね。

それが何の役に立つか? ある分子が、他の分子やイオンと結合する強さを計るというのは、化学のあらゆる分野で大切なことなんですよ。例えば、薬分子を設計する場合だって、体の中の作用先である酵素やレセプターと「どれくらい強く結合するか」を調べたり予測したりすることが欠かせません。
 

それから、直接何かの役に立つということだけでなく、
数量的スキル(自然や社会的事象について,定量的に分析し,理解し,表現する力)は、大学で身につけるべき重要な就業力の一つと言われています。そういうトレーニングとしても格好の題材といえるでしょう。

同じような解析を、pHメーターを使った測定データからも行うことができます。

ph

pHメーターはどんな分野でもよく使う機器ですから、学生の皆さんはしっかり使い方をマスターして下さいね。1年生にはちょっと難しいかもしれませんが、興味がある人は「原理」もぜひ。 将来、必ず焼役に立ちます。

さて、長くなりますのでバイオ分野とナノ分野は、今回は画像のみの簡単な紹介にとどめます。

(バイオ分野の実験の様子)

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(ナノ分野の実験の様子: 使うガラス器具を間違えてることに気付いてあわてています。)

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