今週の2年実験


 今週の2年実験の様子をご紹介します。2年実験(科目名:ナノバイオラボ1A)は水・木曜日の午後に行われています。なお、1・2年生の実験は、ナノ・バイオ・ナノバイオの3グループにわかれてそれぞれの実験を行い、ローテーションすることによって半期で全テーマを行うかたちになっています。今回紹介するのはナノ実験とナノバイオ実験です(次回はバイオ実験を紹介します)。

ナノ実験【アルドール反応によるカルコンの合成】
 アルドール反応は、炭素原子と炭素原子の結合をつくる反応です。有機化合物の骨格は炭素でできていますので、アルドール反応はまさにその骨格をつくる反応として、とても重要な反応です。生体内でも糖の合成に使われています。
 実験しているみなさん、アルドール反応における求核体生成や求核攻撃、それから脱水によるα,β-不飽和カルボニル化合物生成のメカニズムは去年の講義で習得済みのはずですね .....忘れている人は復習しておいて下さいね。
 なお、下の画像はろ過によって生成物のカルコンをろ紙上に取り出しているところです。
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ナノバイオ実験【自分で設計したペプチドの固相合成】
 この日は、合成したペプチドの収量を分光光度計を使って求める実験をしていました。ペプチドには色素分子を結合させていますので、その色素分子による光の吸収を分光光度計という装置を使って調べてやることで、合成されたペプチドの量(収量)がわかります。左下の画像は、光の吸収とペプチドの濃度の関係(Lambert-Beer則)について書かれたテキストを見ながら、ペプチドの収量を計算しているところです。
nanobio_peptide
 また、右上の画像は蛍光光度計を使ってペプチドに結合させている色素由来の蛍光(発光)を確認しているところです。私「色素は何を付けたの?」学生「ダンシルです。あと、トリプトファンもあります。」私「ダンシルとトリプトファンが近くにあると・・・?」学生「FRETが起こります。」 うむ、よろしい。すらすらと学生が答えたので、指導にあたっている臼井先生もニコリ。
 なお、このあと、ペプチドが分解されるとダンシルとトリプトファンが離ればなれになり、FRETという現象が観測されなくなる、ということを確認する実験を行うそうです。