3年生実験を受講して


FIRSTでは、学部1,2年生のうちに専門実験(いわゆる学生実験)を一通り終え、3年生の学生実験では週3日、一人ひとり内容が異なる「研究テーマ」に取り組んでいます。

今日は、3年生の沖廣くんに3年生実験について聞いてみました。

レンコン

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フロンティアサイエンス学部の三年生実験は、ふつうの学生実験と少し変わっている。

それは学生一人ひとりが学生実験の指導する教員の研究室に仮配属という形で入ることだ。一、二年生実験では、学生実験室で10~15人に別れてナノ、バイオ、ナノバイオの決められた実験するのだが、三年生実験では各研究室にたった2、3人の友達しかおらず、他の学生に頼りながら実験をしていた学生にとっては何とも言えない不安を感じるところもある。フロンティアサイエンス学部で三年生実験は一、二年の専門実験と、四年生の卒業研究の間に取り組む実験と位置づけられ、前期、後期と二期受講し、二つの異なる研究室へ仮配属することとなる。こういったタイプの学生実験はおそらく他の大学にはないであろう。

この三年生実験での仮配属は、私たち学生にとって四年生の時に配属される研究室の空気や教授の教育方針を体感できるいい機会でもある。私自身も四年生で所属したいと思っている研究室に実際に仮配属になった。そこで三年生実験を行うことで、研究室に所属している先輩たちと話したり、この研究室がこれからどのような方針で進んでいくのか、ある程度感じ取ることができた。また、この仮配属で得た情報は決してその配属された学生だけのものにはならない。それは、フロンティアサイエンス学部には「マイラボ」があるからだ。このマイラボには学生それぞれの席があり、学生間でそういった情報の交換が行われるからである。そうすると、自分が所属した二つの研究室以外の研究室情報も自然と耳に入ってきて、四年生での研究室選びの視野も大幅に広がる。これは私たち学生にとって、とても有益なことであり、四年生で配属された研究室の教育方針が思っていたのと違うといった配属のミスマッチをある程度なくすことができることにもつながっている。

さらに、三年生実験は卒業研究前にするだけあって一、二年生実験と違う特徴をもつ。一、二年生実験では、テキストに沿って答えのある「実験」をやるが、三年生実験では一人ひとりに異なるテーマの「研究」が与えられる。三年生実験ではこのテーマ選びが、仮配属する研究室選びに関連する。研究テーマは、仮配属前に学部専用サイトで発表があり、研究室からテーマを、またテーマから希望する研究室を事前に調べることができる。こういうと、聞いたこともないような難しい単語が組合わさった専門的な研究テーマが書かれていると思われるかもしれないが、各テーマの下にはそのテーマに関係するキーワード(私たちが授業で習ったり、聞いたことがある専門用語)が並べてある。少しでもテーマやキーワードに興味を持てば、そのキーワードを少し調べさえすれば、ある程度のテーマの概要を知ることもでき、それをもとに仮配属する研究室を選ぶこともできる。

私自身前期、後期と研究をしてきて、次のことを考えるようになった。答えのない「研究」を三年生の時に体験しておくことで、将来自分一人で研究に取り組む時に必要となる、研究の計画や測定機器を使った実験、データの解析や失敗したときの見直しなど、理系学生特有の研究に関するPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を、卒業研究前に身に着けておくことができると思う。実際、私も一、二年実験ではそのようなことを考えたことがなかったが、三年生実験では、日々、未知の研究テーマに向き合って研究を進めている。相談相手はいるが、自分で実験を計画したり、データを解析することが不可欠でそうしなければ研究はすすまない。この三年生実験での私たちの成長は、配属された学生のモチベーションや能力と、その研究室の方針にもよるかもしれないが、少なくとも私は一、二年実験の頃と比べると研究に対する考え方が大きく変わり、何となく研究者として成長していっているような気持ちでいる。

この気持ちを大切に残りの三年生実験に真面目に取り組み、将来の目標に向かって成長していきたいと思う。

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