月別アーカイブ: 2011年12月

タマゴが先か、ニワトリが先か?

物事にはセオリーというものがあり、その順番どおりに物事が執り行われることが多くあります。

これは教育の世界も同じで、セオリー通りにすると学んだことを定着しやすいと考えられています。しかし、あまりにそのセオリーに固執し、囚われてしまうと、むしろ教育効果が失われたりする場合もあったりします。

FIRSTで学ぶ研究分野では、「実験」と「講義」は表裏一体で、どちらもしっかりと学び、修得しなければなりません。仮にどちらか一方の修得が不十分であったり、欠けたりすると、優秀な研究者にはなることが難しくなっていきます。だからこそ、しっかりと学びたいところなのですが、ではどう学ぶのが効果的なのか? 

研究分野におけるセオリー通りの考え方では、①実験技術に関わる基礎知識をしっかりと講義で学び、②学んだ事を実験によって確認する、という方法がよく用いられています。

確かに実験をするときに何をしているのかわからないまま、やってしまうより、何をやっているか事前に講義で学んでおけば、実験に対する理解も飛躍的に上昇する気がしてとても合理的な「セオリー」だと思うのかも知れません。

ただ、実際に自分でやってみると理想と現実は違うものなんですよね。実験をしてみて初めて興味を持つ分野があったりもします。やった後に調べてわかることもたくさんあります。最初に講義で学んだからといっても、膨大に習う講義内容をきちんと理解できていないこともしばしばあります。

また、実際の研究はセオリー通りなのか?といえば、そうでもなかったりします。研究開発はそもそも未知の分野。最初に何を学べばいいのか???

設立準備委員会でもいろいろな議論が交わされました。ただ、この問いに関して、正解も不正解もないんです。最終的に我々が選んだのは実験をしてみて、おもしろければ深く学んでいくというスタイルです。

よかったか悪かったかは、わかるのはだいぶ先のことだと思いますが、学生実験に取り組む学生を見たり、彼らが学年を進行して話を聞くところでは興味・関心の喚起に繫がっているように思えます。

いずれにせよ、表裏一体となる「実験」と「講義」を関連づけながら学び、成長して育ってくれれば嬉しい限りです。


父母の会支援キャリアウィーク(4)

去る12月9日に、父母の会支援キャリアウィークの第4回目のセミナーが開催されました。

今回は、千葉県松戸市にあるプレシジョン・システム・サイエンス株式会社(PSS)より狩長 亮二 氏をお招きし、ご講演いただきました。

PSSは1985年に設立されたベンチャー企業で、臨床検査を自動化する機器の開発をされている会社さんです。

健康診断や病院で病気の検査をされた方も多くおられるでしょう。インフルエンザなどで綿棒をのどや鼻の奥に入れられ、しばらく経つと赤い線が出る、出ないでその発症を検査するようなキットは皆さんもよくご存じではないでしょうか。よくテレビなどでも取り上げられますが、ぼんやりと検査結果が現れたり、測定値がぶれてしまって陽性かも知れないという擬陽性という結果が現れることがしばしば問題となっています。

人の手で測定すると、どうしても誤差が生じてしまいます。一方、そのような測定を自動化してしまえば、溶液を入れる制度も向上し、測定誤差も大幅に低減され、陽性、陰性もはっきりとわかるようになるそうです。PSSでは、自動化に加え、自社で開発する独自のキット、精製法などを組み合わせてさらに感度を向上し、世界的にもその検査精度の高さは定評があるそうです。

狩長氏は、化学系の出身としてPSSに採用され、今は国内外の企業相手に自社製品の開発を行うための交渉や自社製品の説明をしたりもしているそうで、英語で苦労する部分も多く、「大学では英語を学んでいた方が良い」というアドバイスもありました。また、高精度化に関わる国の大型プロジェクトにも参画しているそうで、忙しいながらも充実した研究生活を送っていることをお話いただけました。

将来、やりたいことやれることをやれるというのはとてもよいことですが、大学で何を学んでおくべきか、やはり企業に入社してがんばっている人の意見を聞くことも重要ですね。

PSS


父母の会支援キャリアウィーク(3)

先週の金曜(2日)は、父母の会支援キャリアウィークの第3回目のセミナーが開催されました。

今回は、株式会社耐熱性酵素研究所より奥 崇 社長をお招きし、お話しいただきました。
耐熱性酵素研究所は2003年に設立されたバイオベンチャーで、耐熱性酵素に関して開発や精製に独自の技術を持たれている会社です。

酵素反応は、一般的な有機合成反応では、何段階もかかる合成反応を1段階や2段階という数少ない回数で行うことができます。それは、酵素の持つ高い基質特異性のおかげであり、起業における製造プロセスのコストダウンにつながります。また、有害であったり、危険な試薬を使わず、水溶液で反応ができることも特徴として挙げられ、クリーンな化学反応触媒として興味が持たれています。
セミナーでは、酵素の話、特に「企業で必要とされる酵素の話」などを中心にお話いただき、耐熱性酵素研究所さんがどのようなスタンスで研究開発を行っているかご紹介いただきました。また、ベンチャー起業や経営、企業と大学との違いなどについても興味深いお話をしていただけました。

耐熱

研究者として、研究をする場合に、「うまくいくかどうかわからない、でもうまくいったらおもしろい」というテーマにはとても興味を惹かれます。奥社長がおっしゃられていた「うちではできません、とは決していいません」という言葉に、同じ研究者として強いシンパシーを感じました。できないと先入観を持ってしまうと些細な変化を見逃してしまって、しいては重要な発見すらも見逃してしまうことも多くあります。できること(結果が出ることがわかっていること)に挑戦するのではなく、できないかもしれないこと(やってみても実際に結果が出るかどうかわからない)に挑戦をし、結果が出ない苦労を乗り越えて結果を得たときの達成感を信じて研究をすすめる、まさに「研究者魂」がそこにあるのだと思います。

どんな会社で研究を行うか、自分がどんな研究を将来したいか、今のうちに考え、いろいろな人の話を聞いて進路選択をしてほしいですね。


投げ釣り大会 成島君5位入賞

全日本学生釣魚連盟関西支部主催秋季投げ釣り大会が11月27日(日)、淡路島一帯を対象に開催され、フロンティアサイエンス学部1年の成島匠君が第5位に入賞しました。

今回の対象魚はキス・アイナメ・カレイで、10cm以上の対象魚5匹で競った、とのことです。

神戸の大学なので、釣り好きの学生がたくさんいるのは知っていましたが、体育会系クラブに「釣りクラブ」があるというのは恥ずかしながら知りませんでした。

今後の活躍も期待しています!