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3年生の研究成果発表

1、2年生の実験についてはこのブログで紹介してきましたが、3年生についてはこれまであまり触れていませんでした。

 

3年生は、選択した研究室のテーマに取り組んでいます。

昨日、そのポスター発表会がありました。

 

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(ポートアイランドキャンパス7階 ホワイエでの3年生ポスター発表会。「遺伝子薬」や「がん細胞」に関するバイオ系の基礎研究から、「再生医療」や「触媒」といったナノ系の応用研究まで、さまざまなテーマの発表がありました。)

 

さて、研究室のテーマということは、これは「練習」ではなくて本当の「研究」ですね。

発表では、結果だけでなく、先行研究と比べてどこが新しいのか、どこが優れているのか、ということを含めて、研究の背景や目的をきっちりと話すことが求められます。

また、2年生までの実験と違って、研究内容も各自で違うわけですから、実験の原理や操作についても、正確にわかりやすく説明することが必要です。

 

このようなトレーニングは、4年生・大学院生と研究を続けていく上で、また、就職活動の面接を克服する上で、欠かせないプレゼンテーション力を身につけるのに役立ちます。

 

実際に、4年生になってすぐに学会に行って発表をすると、他大学の先生から「本当に4年生?」と驚かれるんですよ。


毎週火曜日は1年実験の日(4)

1年生の実験、最後に紹介するのは「アスパルテームの合成」です。

 

アスパルテームは、人工甘味料として広く知られている化合物ですね。

ノンカロリーとかカロリーゼロといった食品・飲料に使われているので、みなさんも耳にしたことがあるのではないかと思います。

 

本来私たちが甘いと感じるものは、ほとんどが糖なのですが、このアスパルテームはペプチド。アミノ酸が2個つながった構造をしています。

 

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糖(グルコース)の構造

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人工甘味料(アスパルテーム)の構造

 

糖とはぜんぜん違う構造なのに、甘く感じられるって不思議ですよね。

人工甘味料のほとんどは糖とは似ても似つかぬ構造をしているので、その発見は偶然によるものが多いようです。

本当の話かどうかわかりませんが、出張中の教授からの「Test it(調べなさい)」という電話の指示を、助手が「Taste it(味をみなさい)」と聞き間違って、試料をなめて偶然に見つかったというエピソードもあるくらいです。

 

さて、甘いと感じるのは、その物質が、舌の表面にある味細胞、さらにその表面にある甘味受容体という部分に結合するから。

つまり、味覚というのは、それ自体が生物と化学が合わさった話、つまり「生命化学」なんですね。

そのあたりの面白さはまた別の授業のお話。

 

今日紹介するのは、合成の実験の様子です。

 

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氷-食塩浴で冷却しながら、シリンジを特殊なゴム栓に突き刺して試薬を加えていきます。

試薬が加わると反応熱によって反応溶液の温度が上がるので、温度を管理しながら少しずつ、試薬を滴下していきます。

温度が上がりすぎると反応がうまくいきません。

また、反応容器の上部には塩化カルシウムを詰めた太い管をつけて、外から反応容器内への水蒸気の侵入を防いでいます。

水蒸気が侵入すると、試薬が水と反応してしまって、予定の反応がうまくいきません。

1年生にしてはかなり本格的な合成操作です。

このような操作を何回か経て、フェニルアラニン(アミノ酸)からアスパルテームをつくっています。


医療産業都市に学ぶ

フロンティアサイエンス学部(FIRST)の学生は、主にポートアイランドキャンパスで学びます。

昨年度までは「完全に」でしたが、今年度の1年生からは「主に」です。

というのも、週に一度の『岡本デー』がありますからね。

(岡本デーとは、週に1日、岡本キャンパスで全学的な授業を履修する日のことです。)

 

しかしまあ、専門科目はやはりポートアイランドキャンパスで学びます。

そのポートアイランドキャンパスといえば、このブログでも過去何度も登場した「神戸医療産業都市」。

 

その神戸医療産業都市について改めて詳しく知ることのできる授業が「科学と産業政策」。

神戸市がどのような考えのもと神戸医療産業都市をつくり、そこでどのような基礎から応用さらには産業への「橋渡し研究(トランスレーショナル・リサーチ)」が繰り広げられ、市民のみなさんに還元されるのか、を学ぶ授業です。

 

まあこのように科学を、研究者目線とは違う目線で学ぶわけですが、難しいことを抜きにして見学だけをとってみても楽しい授業です。

 

高松市への航海や、SPring-8での講義・見学などとセットのこのユニークな授業。自分たちが学ぶ拠点について学ぶと言う意味でも、とても大切な機会といえるでしょう。

 

 

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(医療産業都市の歴史や先端研究について学びます。)

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(神戸キメックセンタービルの展望ロビーから医療産業都市の全体像を把握。)

 

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(スーパーコンピュータ京や、現在計画中の後継スパコンの可能性について学びます。)

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(スーパーコンピュータでの演算結果を、3次元で視覚的に捉える神戸大学の施設にて。惑星探査機に使われるイオンエンジンから異音が噴出する様子のシミュレーション、地球内部の対流による地場発生メカニズム予測、火山粉塵の飛散予測など。)


毎週火曜は1年実験の日(3)

後期も1年生の実験内容を紹介していきます。

テーマは、バイオ実験「顕微鏡観察」、ナノ実験「ナノ粒子の合成」、ナノバイオ実験「アスパルテームの合成と分析」の3つ。

3グループがローテーションして全てのテーマに取り組みます。

 

本日紹介するのはナノ実験「ナノ粒子の合成」です。

 

 

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金(gold)のナノメートル(10-9 m)サイズの微粒子を合成しています。

金の微粒子は、酵素や抗体と組み合わせることで医療診断などにも応用できる素材です。「金」なのに「金色」ではなくて「赤色」という話は以前の記事にも書かせていただきました(水曜と木曜は2年実験の日(4))。

たまたま2年生も同じ時期に金の微粒子を作っているわけですが、2年生はつくった微粒子をさらに触媒に応用するなど、より高いレベルの実験をしているようです。

 

1年生は合成したのち、得られた微粒子が「どのような溶媒に分散するか」を調べます。

(一般の方は、「分散する」というのは「溶ける」とイメージしていただければ結構かと思います。)

微粒子の表面の構造(性質)によって、水中で分散しやすいとか、アルコールのような水に近い性質(親水性)の溶媒に分散しやすいとか、トルエンのような水と相反する性質(疎水性)の溶媒に分散しやすいとかいうふうに、分散性が異なるんですね。

おそらく、動画の中で学生が言っている「何をつくっているかは、実験のあとで考察する課題」というのは、この表面の構造がどうなっているかを考える、ということだと思います。

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この分散性という性質は、塗料の開発から、食品や化粧品まで、さまざまな分野で大事になってくる性質ですので、自分の興味のある分野に関して深く調べてレポートにまとめておくと、将来の就職活動などに役立つことと思います。