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学生さんの受賞 〜Chromatography Outstanding Student Paper Award〜

第24回クロマトグラフィーシンポジウム(主催:クロマトグラフィー科学会、東北大学医学部開設百周年記念ホール、6月14日〜16日)にて、フロンティアサイエンス研究科修士課程2年の野上晴加さんが「Chromatography Outstanding Student Paper Award 2017」の表彰を受けました。 

なお、発表論文は「Nicotine-selective Polymeric Adsorbent Obtained by Molecular Imprinting with Excess Use of Itaconic Acid」で、農作物や環境中に残留している農薬などの汚染物質を、低濃度まで正確に分析できるよう、簡便に濃縮することができる高分子材料に関する内容でした。

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(東北大学医学部開設百周年記念ホールにて)


毎週火曜は1年実験の日(1)

(「入学したらすぐ専門実験」から続く)

 

今日紹介するのは1年生の化学系(ナノ)のテーマ。

内容は「クロマトグラフィーによる分離と分析」です。

使用するのは「薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート」。アルミ板の上にシリカゲルがコーティングしてあります。

 

TLC0

(アルミ板なので裏は銀色、表はシリカゲルの白色です。幅1 cm × 高さ5 cmくらいの大きさに切って使います。)

 

このTLCプレートを使って、渡された未知試料の正体をつき止めていく実験です。ちょっと謎解きみたいですね。

シリカゲルというと乾燥剤を連想される方もいらっしゃると思いますが、シリカゲルが捕まえる(吸着する)ことができるのは水だけではありません。水に性質が近い物質ほど(専門的には、極性が高いとか水素結合性が高い、などといいます)、よく吸着することができます。

 

というわけで、TLCプレートの下の方に、試料溶液で「点」を打って、溶媒を下から上に染み込ませていくと・・・

 

TLC2

(毛細管を使って、TLC板の上に、微量の試料溶液を「点」のように付けます。)

TLC1

(ガラス瓶の中で、下から上に有機溶媒を染み込ませていくと・・・)

 

シリカゲルに「吸着しやすい」物質は上に移動しにくく、逆に「吸着しにくい」物質は溶媒とともに速く上に移動していきます。

 

TLC3

(紫外線を吸収する物質は、紫外線ライトを当てることで「どこまで移動したか」を観察することができます。)

 

この移動距離を、いろいろな他の物質と比べてみることで、未知試料の正体を特定するのです。

 

操作は決して難しくない実験ですが、この実験から学べる事柄は山のようにあるので、化学の基礎を身につけるにはとても良い実験です。調べたり考えたりするポイントが多いのでレポートはたいへんだと思いますが、1年生のみなさん、頑張ってください。


神戸で学ぶ、神戸を学ぶ

昔、関西ローカルのテレビ番組のロケで、大阪の商店街を通行中のおばさま方に「神戸の方ですか?」と聞くと、ほぼ全員が「嫌やわぁ、おべんちゃら言うても何にも出えへんよ! そんなオシャレとちゃうわ!」と大・大・大喜びする、というネタを観た覚えがありますが、大阪での神戸のイメージというと、どうも「おしゃれ」のようです。

さて、全国の受験生のみなさんが神戸に対してどんなイメージをもっておられるかはわかりませんが、「おしゃれ」かどうかは別にして、神戸はほんとに良いところですよ。海も山も近くて、街全体に開放感があります。船が日常風景の一部ですしね。

 

Sailingboat

(ポートアイランドキャンパスから。画像では小さいですが帆船のようです。)

DiamondPrincess_Fotor

(ポートアイランド北端から。先週の土曜日にポートターミナルに停泊していた大型クルーズ客船。近くで見ると目を疑う大きさです。タグボートが押しているのでちょうど接岸しているところですね。)

 

少しカタい話をすると、神戸はバイオを学ぶにも良いところですね。神戸には「神戸医療産業都市」はもちろん、「醸造業(灘の酒蔵)」など、身近にバイオの素材がたくさんありますからね。

 

さて、受験生のみなさんへ。今週末6月4日(日)に甲南大学の進学説明会があります。会場は岡本キャンパスですが、事前にご相談をいただければ、海と船が見えるポートアイランドキャンパスをご見学いただくことも可能です(飛び込みで来ていただいても誰もいない可能性がありますのでご注意ください)。ご関心がお有りの方は、前日(土曜日)正午までにポートアイランドキャンパス事務室までお問い合わせください。

甲南大学 進学説明会 http://ch.konan-u.ac.jp/news/559 

甲南大学 問い合わせ先一覧 http://www.konan-u.ac.jp/inquiry/


もうすぐ定期試験

FIRSTでは今月末に定期試験があります。あと4日ですね。

というわけで、先週あたりからキャンパス内のあちこちで試験対策に取り組む学生の姿が見られます。

友達同士で教えあったり、疑問をぶつけあったりしているんですね。test1

(マイラボやミーティングルームでは試験対策に取り組むグループの姿が。)

このような個人レベルの勉強会を通して、学生が励まされたりする話も聞いたことがあります。

苦手科目を諦めかけていた学生が、勉強会に誘われて、それから再び頑張ることができた、というんですね。

いやあ、ブログ編集者が大学生の頃は「今日は試験勉強する」なんて口にする友達がいたら、下宿に押しかけて麻雀だのゲームだのと散々足を引っ張りあったものですが・・・。

話が逸れました。失礼しました。

教員の方も学生たちの試験勉強をサポートするべく「キャッチアップセミナー」という少人数ゼミのようなものを授業時間外に開いて、集中的に質問を受け付けたり復習型の講義を行ったりしてします。

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(キャッチアップセミナーのキャッチアップとは「追いつく、遅れを取り戻す」などの意味。リクエストに応じて、ミニ講義、質問回答、模擬テストなどを行います。)

1年生は大学での初めての試験になります。ぜひとも良いスタートを切ってほしいですね。

P.S. 大学の定期試験は半年に一度、前後期それぞれの期末に行われるのが一般的ですが、FIRSTでは専門科目の多くが「クォーター制(4学期制)」を採用しているので、この時期にも定期試験があるんですね。また、1年生は、入学から最初の定期試験までが開きすぎないように、との趣旨で、中間試験を実施しています。「クォーター制(4学期制)」については、またの機会に説明します。

 


起業家OB

大学教員として嬉しいことの一つは、卒業生が連絡を取ってくれたり、大学に訪ねて来てくれたりすること。

「急に休みが入ったので・・・」とふらっと顔を見せに来てくれる卒業生もいれば、専門分野に関係する用件で連絡をくれる卒業生もいます。

昨日も、この学部の一期生2人が訪ねて来てくれました。

フロンティアサイエンス学部(FIRST)は2009年開設ですので、彼らが卒業してもう4年になりますね。

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(村嶋教授(中央)とソフトウェア開発の打ち合わせをする一期生の森さん(右)と石橋さん(左))

森さんは在学中から起業家を目指していて、卒業後はソフトウェア開発事業に取り組んでいます。

現在はもう一人の1期生、石橋さんも参加して共同開発をしているとのことです。

2月のFIRST同窓会総会で会ったときに、教員が「こんなソフトウェアがあるといいなぁ」と話していたのを覚えていてくれて、具体的な話を進めたいということで今回訪ねて来てくれました。

ソフトウェアの中身は書けませんが、ブログ編集者も“そんなソフトウェア”が売っていたらすぐに飛びつきますよ。

ぜひ、開発から発売につなげて欲しいですね。

せっかくの機会なので、彼らから後輩たちに一言。

「大学ではソフトウェアの勉強をしたわけではありませんが、自然科学について広く学んだ知識が、新しいアイデアを生み出すのに役立っています。」

「起業で大事なのは合理的な判断、計画、そして行動。それって、大学での実験と同じなんですよ。みなさんも大学での経験を生かして、ぜひ“起業の輪”を広げていきましょう!」

100%自分の力で道を切り開いていかなくてはならないのは不安も大きいでしょうが、その分、やりがいも大きいでしょうね。

二人の活躍を期待しています。

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P.S. 彼らが「キャンパスの中で懐かしい場所」という食堂(カフェテリア)を久しぶりに訪れてもらいました。

「すっごくメニューが増えてる! 僕たちの頃は・・・」とお世話になった店員さんとの話に花が咲いていました。